勇者召喚の儀

シャリ王国首都コメドコロで

シャリーラ12世は居城であるコメドコロセンターの一室で自分の子供達と

魔法使い達を呼び集めて勇者召喚の儀式を始めていた。


「ご機嫌麗しゅうございます陛下、 それに殿下方」


シャリ王国宮廷魔導士長サーストンが恭しく頭を下げる。


「この度は勇者召喚の儀を任せて頂き光栄の至りで御座います!!」


明らかに興奮している。


「挨拶は良い、 早く勇者召喚の儀を始めろ」

「は、 はい、 ではう、うん!!」


サーストンが深呼吸をしている、 興奮を覚ます様だ。


「サーストンってあんな方でしたっけ?」


アサージは隣に居るヴィネガーの影武者に尋ねる。


「重大な魔法事案に対してはあんな感じです」

「そうでしたの・・・」


サーストンが深呼吸を終えて魔方陣を描き魔法の詠唱を始める。

ズガガガガガガガガガガ!! 轟音が城内に鳴り響く!!


「何事だ!!」


ボグルが絶叫を挙げる!!


「失礼致します!! 魔王軍の進撃です!!」

「ここにか!?」


魔力による結界は張っていた筈なのにまさか破られるとは予測もしていなかった!!


「敵は四天王!!」

「四天王の誰だ!?」

「四天王全員です!! そして強力な魔力を持つ者が更に一体!!」

「!! ま、 まさか魔王!? 父上!!」

「狼狽えるなボグル、 逆に考えれば

ここで勇者を呼び出せば一気に魔王軍を殲滅出来る」

「そんな無茶苦茶な!!」


ボグルが絶叫する。


「では父上!! 私は魔王軍を足止めして参ります!!」


シーゾーが部屋から出る。


「し、 シーゾー!?」

「一刻も早い勇者の召喚をお願いしますよ!!」


タッタッタと駆け抜けるシーゾー。


「私も行こう」


ワサビも立ち上がる。


「勇者なんて、 何処の馬の骨かも分からない奴に自分の命運を預けたくは無い」

「・・・・・」


ワサビを睨みつけるシャリーダ12世。

ワサビが勢い良く部屋から飛び出る。


「ち、 父上、 一旦安全な場所に避難を」

「黙れ」


愛娘の言葉を一喝するシャリーダ12世。


「勇者が召喚されれば何もかも問題は無い・・・」


外から息を切らして部屋に戻って来たワサビ。


「はぁ・・・はぁ・・・」

「ワサビ、 一体如何し」


部屋のドアが弾け飛ぶ、 ドアの外に居たのは触手を持った巨人。

四天王の一人ヨモヤマバナシである。

触手の一本には首が圧し折られたシーゾーの姿が有った。


「貴様、 何者だ?」

「四天王の一人ヨモヤマバナシ・・・勇者は召喚されていない様だな

ここで死んでもらうぞ!!」


触手の一本がサーストンに迫る!!


「詠唱は全て完了している」

「何ッ!?」


魔法陣が輝いた。

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