よろしくお願いします

パーネリ美術館の一室で始まる国際会談。

護衛は外で待機している。


「この度は皆さまにお集まりいただき誠に恐縮です」


モグサール共和国の代表コブが恭しく頭を下げた。


「それで今回モグサールの提案で集まった訳だが議題は何かね?」

「えぇ、 この度私共モグサール共和国に

ダークネスシ帝国の暴挙を止める人物が亡命してきたのです」

「・・・・・」


他の国の代表達の反応は冷ややかだ。

ダークネスシ帝国の暴挙を止める人物?

何処かの大公か何かだろうか?

しかし何処から如何考えてもその様な人物に心当たりがない。

鶴帝国の主だった貴族は全滅である。

シャリ王国は元々大した国では無い、 そんな国の貴族では心許ないだろう。


「そちらの黒頭巾の方ですかな?」

「そうです、 ではお顔を見せて下さい」

「・・・・・」


頭巾を取る男。


「貴様ッ!! やりやがったなッ!!」


アルフィーネが激昂する。


「バルドッ!! 直ぐに中に入れッ!!」

「護衛ッ!! 突入せよ!!」


O5-1とレーアが絶叫を挙げる、 直ぐにバルド達が中に雪崩れ込む。

護衛が一斉にコブと男に武器を向ける。


「お、 落ち着いて下さい」

「落ち着けだと!? 貴様堂々と裏切りやがって!!」

「レーア様、 コブ代表の隣の男は一体・・・」

「シャリーダ13世!!」

「何ですって!?」

「それは違う!! まず話を聞いて下さい、 話はそれからだ」

「・・・・・良いだろう、 話を聞こう、 変な動きをすれば即殺す

構いませんね皆さん」

「異議無し」

「異議在りません」

「えぇと・・・はい・・・」


息を整えるコブ。


「まずこの方はシャリーダ13世では無くヴィネガー王子です」

「王位を継承する前はそうだったな、 それで?」

「今現在シャリーダ13世を名乗っているのはヴィネガー王子の影武者なのです!!」


驚愕する一同。


「皆さん、 どうか闇寿司に乗っ取られた我が国を御救い下さい!!

お願いします!!」


頭を下げるヴィネガー。


「・・・なるほど、 武器を下げろ」

「失礼ですがヴィネガー王子

貴方が闇寿司で無いかの確認をしたいのですが宜しいでしょうか?」


バルドが前に出る。


「えぇ大丈夫です」

「ではお手を確認」


闇寿司か否かの判定。

それは手の匂いを調べる。

闇寿司か否かの判定と言うよりはスシブレーダーか否かの判定になるだろう。

手に酢飯の匂いが付いているか否かの判定である。


「手に匂いがしませんね、 スシブレーダーでは無い

つまり闇寿司では無い」

「そう言う事です、 君がバルドか、 よろしく頼む」

「えぇ、 よろしくお願いします」

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