ラーメン

麺を啜るフグ。

啜る啜る啜る、 一心不乱に啜る。


「ふぅ・・・美味しくて全部一気に食べてしまいました」

「替え玉居るか?」

「一生付いて行きます」


フグは替え玉を二杯食べた!!

三杯目に行かなかったのはスープが無くなってしまったからだ!!


「この旨さ・・・圧倒的です」

「だろぉ?」


自分のラーメンを褒められて上機嫌の闇。


「これだけ美味しい物を作るのならシャリーダ陛下の失点も無くなると言う物ですね」

「まぁな、 醤油が重要なファクターを担っている

しかしこれだけ旨くするのは俺の腕だと言う事だな」

「そうですねぇ」


笑うフグと闇。


「師匠、 余ったチャーシューでチャーシュー丼作ってみました」

「上出来だ」

「私にも下さい」


チャーシューも良い感じに仕上がっている。

脂身と肉、 そして御飯が醸し出すハーモニー。

ハンバーグとは違う、 肉の強さが活きる丼である。

そしてネギが全体を引き締める。


「腕を上げたな」

「有難うございます」

「御代わり下さい」

「良く食べるな」

「成長期か」

「まぁどんどん喰え」

「はい」


もくもくとチャーシュー丼を食べるフグ。


「ふぅ・・・御馳走様でした」

「中華スープも作って有る」

「至れり尽くせりですね師匠、 いただきます」


ズズーと中華スープを飲むフグ。

口の中の油分が洗い流される。


「しかしチャーシュー・・・美味しかったですね

チャーシューを最初から沢山入れるラーメンとか如何でしょう」

「俗にチャーシューメンだな、 駄目だ」


きっぱりと断る闇。


「何でです?」

「フグよ、 俺は凄い旨いラーメンを作れる

そのラーメンを客が如何食べようとも勝手だ

その逆も然り、 俺が如何言うラーメンを作ろうが勝手だ

最初から胡椒やニンニクを入れても俺は怒らん、 客の勝手だ

だが最初からニンニクを入れてくれと言うオーダーは受け付けん

ヤサイニンニクカラメアブラマシマシ? 知らん言葉だ

俺は旨いと思う最高のラーメンを出す、 そのラーメンを如何喰うかは客次第

客に干渉しないんだから客も俺に干渉するな

要するにチャーシューメンは色々精密なバランスが崩れるから出さん」


闇寿司らしからぬ考え方である。

闇寿司ならチャーシューを迷い無く追加するだろう。

しかし闇には闇の矜持が有る、 即ちチャーシューメンよりもラーメンの方が旨い。

そして強いのだと。


「そうですか・・・じゃあ最初にラーメンを頼んで後からチャーシューを頼んで

入れると言うのはアリですか?」

「それは認めよう」


彼も自分の生き方を邪道と呼ばれた男、 抜け道、 外道、 邪道は寧ろ望む所である。

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