出立

荷造りを一昼夜かけて終えた一行はファウンデーション教国に向かった。

馬車の中でこれからの話し合いをするタオとマオ、 そしてハウ、 ゴハン、 バルト。


「まずバルト、 君のスシブレードの知識だがファウンデーション教国が

兵力の一部とするのは正直難しいと思う」

「何でですかタオ様!?」

「落ち着け、 ファウンデーション教国は

基本的に異常な物は余程切羽詰まらないと使わない切羽詰まって状態でも使うかは怪しい」

「異世界の召喚はしたじゃねぇか」

「ファウンデーション教国はシャリ王国支部の独断だと言っている」

「どうだか」

「だから基本的に君がスシブレードを広めると言う事は無いのでは無いか、 と儂は思う」

「むむむ・・・」

「しかしスシブレード自体は戦力になるから君が前線に出る事になるだろうとは思う」

「・・・レーア様の為ならば大丈夫です」

「お熱だなぁ」


ぴゅーと、 ゴハンが口笛を吹く。


「なっ、 そんなんじゃ・・・」

「ゴハン、 その辺で」


ハウが制する。


「所でタオ様、 荷造りは時間がかかりましたが大丈夫だったんですか?」

「あぁ、 それは心配無い、 嘘吐きの揺り篭で何時連中が攻めて来るか

調べて有る、 奴等が攻め込むのは明後日、 充分逃げられる」

「・・・少々不安ですね」


ハウの顔が沈む。


「どういう事だ?」

「『攻め込む』のは明後日、 という事は『包囲される』日付は分からないと言う事ですよね」


はっ、 とタオが気が付く。


「周囲は警戒しています、 大丈夫ですよ、 お爺様」

「ほんとかぁ?」


マオの言葉につっかかるゴハン、 マオはキッと睨む。


「まぁまぁ二人共喧嘩は止しなさい」

「!! 伏せて!!」


バルトが叫ぶと馬車の上部が吹っ飛んだ!!


「!!」

「何だ!?」

「動くんじゃねっきゅ!!」


大きな叫びが聞こえる、 馬車の外から見ると

そこに居たのは下半身がタコの八本脚の男だった。

その男は人間の手とタコの八本脚でそれぞれ湯呑と箸を構えている。

コイツは闇のスシブレーダーだ!!


「きゅっきゅっきゅ!! 待ち伏せしていればきっと来ると思ったっきゅ!!」

「その恰好、 ソルジャースシでは無いな!!」

「その通り、 ダースシ・ヴォルフガング様に使えるヤミ・アプレンティスだきゅ!!」


ヤミ・アプレンティス!!

その言葉に固唾を飲むバルド!!

今まで戦って来たソルジャースシとは訳が違う!!


「お前達を捉えて手柄とするきゅ!! 一人で戦果を挙げれば俺の評価も上がるきゅ!!」

「と言う事はここにはお前一人か」

「そうだきゅ、 だがこの手足を見るきゅ」


その通り、 計五つのスシブレード発射準備が既にできている!!

装填されているのはタコ焼きだ!! しかも揚げタコ焼きだ!!

カロリーの化け物!! それが5個!! 太る!!


「さっきはわざと外したきゅ、 その気になれば脳天に当てるきゅ」

「・・・・・」


バルトは馬車から降りた。


「きゅ? 命知らずきゅ?」


そしてバルトもスシを構えた。


「きゅきゅ!? お前もスシブレーダー・・・ならば戦うのが必定!!」

「俺達も加勢するぜ」


ゴハンもスシを構える。


「いや、 相手は1人、 僕が」

「きゅっきゅ!! 手間が省けるきゅ!! 2人でも3人でもいっぺんに来いきゅ!!」

「ならば私も行こう」


ハウもスシを構える。


「ふふふ、 これは良い手土産になるきゅ・・・それじゃあいくっきゅよ!!」

「「「3、 2、 1、 へいらっしゃい!!」」」


そしてスシが射出されたのだった!!

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