日直

「今日の日直は、佐藤と小鳥遊だな。よろしく頼むぞー」

「「はーい。」」

「じゃあこれで朝のHRは終わりだ。1時間目の準備しとけよー」


(キタキタキタキタ!!!日直!!佐藤と日直!!昨日楽しみすぎて1時間しか眠れなかったけど、そんな睡眠不足、佐藤と一緒に日直できることに比べたらどうだっていいわ!!)

「あ、小鳥遊さん。」

(さ、早速声掛けられちゃったわ・・・!何かしら・・・。一緒に黒板消そうとか??いいわね、共同作業!なんか夫婦って感じ!)

共同作業から何故夫婦まで連想できるのだ。

「な、何かしら!」

「友達呼んでるよ?」

「へ?」

教室のドアには別クラスの小鳥遊の友達が。

教科書を借りに来たようだ。

「僕が黒板消しておくから、友達のところ行ってあげて。」

「私も黒板消したい!」

「消したいの?」

「あ、いや、違くて・・・。ちょ、ちょっと待って。そうだな、えっと、そう!なんか一人に任せるのは後ろめたいっていうか!?別に共同作業したいってわけじゃないけど、なんかサボってるみたいだからいやだなぁって思ってさ!」

「そういうことなら、交代制にしよっか。じゃあ、1時間目の後は小鳥遊さんよろしくね。」

「えっ、待ってさと――」

「姫子ー!早く来てよー!」

急かす友人。空気が読めない。

「ほら言ってあげてよ小鳥遊さん。僕黒板消してくるね。」

「さ、佐藤ーー!!」

共同作業の夢、叶わず。


放課後。

結局、やはりそのまま交代制で黒板消し。

しかし、小鳥遊姫子。この一緒の日直というチャンスを逃したくない。

黒板消し以外のの日直の作業。

そう、学級日誌である。

その日の時間割、クラス内の状況、清掃状況などを記載するものである。

こんな小さな仕事でも、小鳥遊姫子の妄想は大きく広がる広がる。


「ねえ、小鳥遊さん。」

「どうしたの佐藤。」

「学級日誌なんだけど、一緒に書かない?こういうの苦手で。」

「いいわよ。ざやあ、一緒に書きましょ。」

「じゃあ小鳥遊さん。こっち来てよ。」

「こっち?」

「うん、こっちだよ。僕の膝の上。」

「ひ、膝の・・・!?」

「だって一緒にって言ったでしょ?」

「一緒にって言ったってそんなに密着して・・・」

「僕と密着するのは不満?」

「べ、別に不満じゃないけど・・・」

「じゃあほら、早く来て。愛する姫子。」


(ぎゃあああああああああああああ!!ダメダメ!姫子呼びはダメ!!幸せすぎて意識なくなるわ!!)

妄想が大きくなりすぎて、佐藤の性格がおかしくなっている模様。

(ひ、膝の上はやりすぎかもだけど、隣くらいならもしかしたら・・・!ワンチャン!ワンチャンあるわ!!)

「ねえ、小鳥遊さん。」

(よし来た!!)

「な、なに!」

「げ、元気が良いね・・・」

「そうかしら!私はいつもこんな感じよ!で、用件は!?」

「あ、ああ、学級日誌のことなんだけど・・・」

「きゃああ!!」

「え、どうしたの・・・?」

「な、何でもないわ。続けて。」

「う、うん・・・。学級日誌さ・・・」

鼻息が荒くなる小鳥遊姫子。

完全に変人だ。

「学級日誌、僕もう書いといたから、先帰っていいよ。」

「え!?!?」

「え、か、書きたかった・・・?」

「ひゅー、ひゅー、ひゅー。」

すっかり固まってしまった小鳥遊姫子。

息をするので精一杯だ。

「ひゅー・・・?書きたかったのならごめんね小鳥遊さん。でも、こういうめんどくさい作業、女の子の小鳥遊さんにやらせるのは嫌でさ・・・」

「え?」

「どうしたの?小鳥遊さん。」

「女の子?私のこと女の子してみてくれてるの?」

「当たり前じゃん!小鳥遊さんは可愛くて、頭も良くて、ホントに素敵な女の子だよ!あ、いや女の子ってのは失礼か・・・。女性?うん、素敵な女性!」

小鳥遊姫子の顔はどんどん赤く染まっていく。

「わ、私もう帰るわ!!日誌書いてくれてありがと!そ、それじゃああああああ!!!」

ダッシュで教室を飛び出す小鳥遊姫子。

「た、小鳥遊さん急いで帰っちゃって・・・。観たいテレビでもあったのかな?」

無意識にあんな言葉がすらすらと出てくる佐藤。

大変罪深い男である。

しかし、ナンパ師が口説く時のような薄い、心の全く籠ってないのとはまるきり違う。

佐藤は心の底から思っていることをただ言葉にしただけである。

鈍感強し。


小鳥遊姫子としたかったことは何もできなかったが、最後に大きな収穫を得た。

(可愛いって、素敵な女性って・・・!もうこれプロポーズ⁉プロポーズみたいなものだよね!?もう私、佐藤への好きが止まらないんだけどおおおお!!!!!)

小鳥遊姫子の挑戦はまだまだ続く。

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