シャーペン

2時間目 国語

カリカリカリカリ。

小鳥遊姫子に佐藤。

集中して授業に励んでいる。

小鳥遊姫子は授業中であろうと佐藤と話したいが、かといって彼の勉強の妨げにもなるかもしれないのでぐっとこらえ、最低限の会話のみ行うよう心掛けている。

「あっ」

佐藤、シャーペンを落とす。

「あら、はい。」

小鳥遊姫子、拾う。

「ありがとう。小鳥遊さん。」

「礼を言われることじゃないわ。」

(実際、佐藤のためならなんだってするんだから!こんなのでお礼言われても困るわ。照れるし!)


もじもじ。

小鳥遊姫子、さっき佐藤と少し会話したせいで、もっと話したい欲が溢れてしまった。

(す、少しだけなら、いいかな・・・?)

「ね、ねえ、佐藤。そのシャーペン、ずいぶん年季が入ってるみたいだけど、いつから使ってるの?」

「これ?これは中1から使ってるよ。プレゼントしてもらったんだ。」

「プ、プレゼント!?へ、へえー、別にどうでもいいんだけど、その相手は男?女?ああ、別にどうでもいいけど!」

大事な事なので2回言いました。

「んー。まあ、女の子かな?」

「へ?お、女の子・・・?」

(ぎゃあああああああ!!聞かなきゃよかった!!絶対男だと思ってたのに!!たしかに佐藤可愛い顔してるから、女子にモテるのかも・・・ってダメええええ!!いやああああああ!!)


「あ、小鳥遊さんのシャーペンめっちゃいいデザインだね!」

「そ、そう?ありがとう・・・」

「うん、どこで買ったの?」

「これはパパがプレゼントしてくれたものなの。――っ!」

(女子ってもしかしてママじゃないの?!ママからプレゼントなのよ!そうなのよ!そうであって!!!)

「佐藤はママからもらったとか・・・?」

「いや、お母さんじゃないよ。」

「な!?」

(ち、違ったああああああ!?)

「これはい――」

「聞こえなーい!!私板書するから聞こえなーい!!集中するから!!」

(そんなの聞きたいわけないじゃない!!佐藤のバカバカバカ!!そのプレゼントした子よりも私のほうが佐藤のこと好きだもんねー!大好きだもんねー!愛してるもんねー!!負けてたまるかコノヤロー!!!)

「あ、ごめんね邪魔しちゃって。僕も板書しないと。」

(妹からもらったシャーペン。ちょっと調子悪くなってきたなあ。)

(はっ!!思わず佐藤とのお話自分から切っちゃったわ!!もう!私のほうがバカバカバカーーー!!)


翌日。

「おはよう。小鳥遊さん。」

「お、おはよ。佐藤。」

「今日はすごくいい天気だね。すごく気持ちが良いよ。」

「そ、そうね。」

沈黙。

沈黙。

ひたすら沈黙。

ちなみに佐藤は沈黙を気にしないタイプの男である。

(今日はお昼何買おうかなあ。)

(頑張れ・・・私・・・!)

「ねえ、佐藤!」

「わっ!な、なに小鳥遊さん。」

(しまった大きい声出しちゃった・・・。でもこんなんでめげないわ!)

「あの、ね・・・。よかったら、これ・・・」

「なにこれ?」

「いいから開けてみなさい・・・」

佐藤、箱を開ける。

「わっ、これ小鳥遊さんのシャーペン?でも色が違う・・・」

「あ、あげるわ・・・!私と色違いよ・・・」

「え!いいの!?やった、ありがとう小鳥遊さん!!」

「べ、別に佐藤のためにパパにお願いしたとかじゃなくて、家に偶然、そりゃもう偶然にあったからあげただけなんだからね!!」

「ほんとに嬉しいよ小鳥遊さん!ちょうど調子悪くてさ。前のやつは家用にするよ。これ大事に使うね!!」

「・・・うん。」


今日は大勝利の小鳥遊姫子であった。

小鳥遊姫子の挑戦はまだまだ続く。

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