消しピン

休み時間。佐藤は友達と消しピンを楽しんでいた。

「おりゃ!」

「おお、やるな佐藤!ならこっちは、こうだ!」

「あはは。上手いね田中君!僕だって負けないぞ。」

そんな光景を小鳥遊姫子は横目に見ていた。

「・・・」


放課後。

(よし、そろそろ帰るか。)

佐藤が今まさに帰ろうとしていた時――

「さ、佐藤!ちょっと待ちなさい!」

「うん?どうしたの小鳥遊さん。」

「いいからちょっと付き合いなさい。あっ!今の付き合いなさいは話にだから、決して恋人になってとかの意味じゃないから!」

「あはは。それくらいわかるよ小鳥遊さん。」

「そ、そう?わかったならいいわ。」

「うん。ところで話って?」

「ほら、佐藤、休み時間になんか楽しそうにしてたじゃん・・・。消しゴムぶつけ合って。」

「ああ、消しピンのこと?」

「消しピンていうのね・・・。そ、その消しピンなんだけどさ・・・」

「うん。」

(勇気を出すのよ私!素直になりなさい!)

「わ、私もしてみたい、なぁって・・・」

「全然いいよ!しよ!」

「わあああ・・・。ふ、ふん!特別だからね!」

「ありがとう小鳥遊さん。でも、小鳥遊さんがこういうの興味あるって意外だなぁ。」

「興味があるわけじゃないわ。ただあんなに楽しそうにしてたから。」

(実際興味あるのは佐藤だけだもんね!)

「うん楽しいよ。だから、さあ早くやろ。」

「う、うん。消しゴムを準備すればいいのよね。」

「うん、それで机の上に置く。端すぎたり、相手との距離が近すぎたりしたらすぐ落ちちゃうから気を付けてね。」

「うん・・・、なるほど。」

「1回ずつ交互に自分の消しゴムをはじいて落ちたら負けだよ。」

「よくわかったわ。それじゃしましょうか。」

「じゃあまずじゃんけんで先行を決めよう。勝った方が先行ね。」

「了解よ。」

「「じゃんけんぽん!」」

佐藤 グー

小鳥遊姫子 パー

「やった。私の勝ちね。」

「じゃあ小鳥遊さんから。」

「一撃で仕留めてやるわ・・・。そりゃ!」

小鳥遊姫子の消しゴムは勢いが強すぎたため、1発場外。

「あはは。小鳥遊さん強すぎだよ。僕の勝ちだね。」

「ぐぬぬ・・・。こ、これはハンデよ!これから勝ち続けるためのね!」

(悔しい・・・。でも佐藤が笑ってる・・・。笑顔可愛すぎるよ!ぎゅってしてあげたい!!)


「じゃあもう1回だね。」

次は先行佐藤となった。

「じゃあ僕から行くよ。最初は様子見で少し近づく。」

ピンっ。

「じゃあ、私の番ね。さっきは強すぎたから・・・」

さっきより弱く。かなり弱く。

ピッ。

弱めすぎた結果、ほぼ動かず。

「あはは。小鳥遊さん今度は弱すぎだよ。もうここから狙っちゃうよ・・・!」

ピンッ!

佐藤の消しゴムは小鳥遊姫子の消しゴムを狙い撃ち、見事に落下させた。

「なあ・・・!」

「やった!2連勝だ!」

「こ、これもハンデだから!さあ次するわよ!」


1時間後。

小鳥遊姫子50連敗。

「はあはあ・・・。た、小鳥遊さんそろそろお開きにしよう・・・」

「確かにもうこんな時間ね・・・」

「う、うん。だからまた明日とかにしようよ・・・」

「あ、明日?明日もしてくれるの?」

「うんいいよ。楽しかったし。」

「やっ・・・、じゃなくて、そんなにしたいなら仕方ないわね!」

「うん、ありがとう。」

「い、いいのよ。」

(てことは明日も放課後佐藤と一緒・・・?!もうこれってデートみたいなもんよね?消しピンデート・・・。うん良い響きだわ!)

「じゃあ、僕はこれで。また明日、小鳥遊さん。」

「え、ええ。また明日。あっ、佐藤!」

「うん?なに?」

「明日の消しピン、期待してなさい・・・!」

「??」


翌日。

もうすぐHRだというのに小鳥遊姫子の姿はなかった。

(寝坊かな・・・?でもあの小鳥遊さんが寝坊なんて考えられないし、じゃあ休み?)

佐藤が小鳥遊姫子のことを気にしていると。

「おい、あれ見ろよ!」

突然大きな声を出し、窓へ駆け寄る男子生徒A。

一斉にみんなが窓へ駆け寄り、外を見る。

佐藤は窓際の一番後ろの席なので駆けよらずとも席から眺める。

そこには驚きの景色が――

「な!?小鳥遊さん?!」


小鳥遊姫子は小鳥遊財閥のご令嬢。

いろいろな会社も運営しており、消しゴムを作るなど朝飯前。

小鳥遊姫子は2mは超えるであろう消しゴムを機会に乗せて運んでいた。

窓から覗いてる佐藤に気付いた小鳥遊姫子。

「あ、佐藤ーーー!!これで私負けないわよーーー!!」

「小鳥遊さーーーーん!!それじゃ指ではじけないでしょーー!!」

「あっ。」


小鳥遊姫子は天然お嬢様だった。

それでも小鳥遊姫子の挑戦はまだまだ続く。

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