第12話

この日がやってきたと思うと私は中学校生活の三度目の夏休みが近づいてきているのだ感じることができた。


「いってきまーす」


私は元気よくそう言って家を出た。

考査当日ということもあり、学校で少しでも勉強が出きるようにと思い、今日はいつもよりも少し早く家を出た。


「お兄ちゃんに何か一言もらいたかったけどまだ寝てたから……」


でも、考査前にお兄ちゃんと顔を会わせなくてよかったかな。もし、会ってたら考査どころではなかったと思うし。あの日のことを思い出すとどうも勉強にも集中できなかったし。


「茜、おはよう!」


「おはよー」


教室についた私に挨拶をしてきたのは同じクラスの九条咲。彼女とは小学校からの仲で過去に私の相談にも親身になって聞いてくれたいい友達だ。


「茜はテストどう?」


「う~ん。前半は集中して勉強してたんだけど……テスト2日前ぐらいから色々あってあまり勉強できてないんだよね」


「珍しいね、茜がテスト勉強に集中できなくなるの」


咲は何があったのか私に聞くことはなかったが、心配はしてくれていた。


「そんなことより、咲はどうなの?」


「私にそれを聞くの?天下の勉強完璧美少女さんに比べたら足元にも及ばないよ」


「はぁ、またそれ言ってる。咲の方が可愛いって」


そんな雑談をしながらも、私たちは今日行われる考査の勉強を始めた。

教室には私たち2人を加えても10人以上の生徒はいなかった。いつもの休み時間などには見られないその教室は勉強をするにはとても良い環境であった。


「ねぇ、茜。ここ教えてもらってもいい?」


「どれ?」


私は自分の勉強の手を止めて咲のほうを見た。


「あー、これね。ここは勘違いしやすいところだから__」


「なるほどぉ、わかった。ありがとう」


咲はそう言って自分の席に戻っていった。考査の勉強といっても1人でやるのが全てではない。こうやって質問されたのを誰かに理解できるように説明するのも勉強の一環と思っている。

そうこうしているうちに 時間は経ち、少しずつ教室に集まるクラスメートの人数が増えてきて、登校時間5分前には全員の生徒が自分の席に座って勉強をするには光景が広がっていた。


チャイムの音と同時に教師が教室に入室して、その後、問題用紙、答案用紙を配布し、今日の考査が開始した。




「やっと、終わった~」


最後の列の答案用紙が回収されたと同時に1人のその声をはじめにして、教室内の重たかった空気が軽くなった。


「茜ぇ~」


そう言いながら、私のもとに近づいてきた咲の表情に私は察した。


「『全然解けなかった~』でしょ?さすがに分かるようになってきたよ」


「なんと、茜さん私の心をよめるように。いや~、私たちそこまでの仲になりましたか。嬉しいな」


咲は照れながらも言った。

私は咲の発言に耳を傾けることもなく、素早く帰りの用意を済ませた。


「ほら、帰るよ。明日もあるんだから」


そう言い、私の後を咲がついてきていることを確認してから教室を後にした。


私の通う学校の考査は午前中に考査を行い、午後からは次の日の考査の勉強をする。それを3日程繰り返す。中学3年にもなると教科数が他の学年よりも多いためその分余裕がなく、あまり学校に残る余裕がないのだ。


「そういや聞いてなかった。茜はどうだったの?」


「楽勝」


「さすが」


私と咲は足早にそれぞれ家に帰った。



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