第52話 バカップル?!

「それではまず班長を決め、役割分けとかしてくださーい!」


「春樹班長な!よろしく!」

「え……あ、うん……じゃあ、七菜美と藤田さんは材料取ってきて。俺と駿介はこっちの準備しとくから」

「「了解!」」


こうして材料や道具の準備は完了した。

今日作るのは豚のしょうが焼き。

まあ、楽しく出来ればいいだろう……

俺はたまに料理をするが、上手と言えるほどではない。

作るより、皿を洗うのが好きなんだよな……


「えっと……七菜美と藤田さんは切って、駿介は……なんでもいいや」

「おい、役に立たないからってなんでもいいは良くないぞ!」

「えっ?ば、バレたか……」


あははは

みんなから笑みがこぼれる。

結局駿介は洗い物なら出来ると言うのでシンクにスタンバってもらった。

俺はというと、焼く係になったのだ……


にしても七菜美の手際がいい。

自分のを終わらせ、藤田さんのも手伝い始めている。

七菜美から切った食材達を、フライパンに入れていく。

皿を洗いながら駿介が、

「2人とも手際いいな〜夫婦かよ!」

とニヤニヤしながら言う。

またなんか言ってるわ……

七菜美をちらりと見ると、顔を真っ赤にし、動揺?していた。


「ふ、夫婦!?な、な、何言ってんの!?ま、まだそんなんじゃないし……」


いや〜慌てる七菜美も可愛いな〜

と思ったその時、七菜美の手が沸かしていたお茶のやかんに当たった。


「熱っ!?」

「ちょっ、大丈夫か?!」


七菜美の手を取り、冷水にその手を当てる。

なんか顔も赤くなってないか?


「熱でもあんのか?」


額を触ると何だか熱い……


「七菜美?ほんとに大丈夫?」

「だ、大丈夫だから!」

「今井君、その辺にしてあげな。七菜美ちゃん羞恥で死にそうだよ……」


藤田さんにそう言われ、周りを見渡す。

あれ〜クラスのほぼ全員がこっち見てるよ〜

必死になっていて、周りを見ていなかった……

慌てて七菜美から手をどける。


「その、ご、ごめん……」

「な、なんで謝るの……あ、ありがとね……」


周りはずっとこっちを見ている。

やってしまったな……


「おほん!やけどしたら、今井君がしたようにすぐ冷やしてね〜!それではみんな集中して!作業に戻る!!坂石さん保健室行く?」

「一瞬だったので大丈夫です」


先生のおかげでみんな作業に戻り始めた。

先生ありがとう〜



こうして無事?調理実習は終わった。



帰りのホームルーム前、パソコンを使った授業だったため教室に帰る。

電気を消したり、いろいろしていたので、移動したのは俺が最後となった。

3人くらいのクラスメイトが、七菜美を囲んでいる。


ま、まさか……

授業中にイチャイチャしてんじゃねーよ!みたいなやつか?!

それなら俺の責任だしまずいな……

俺は死角でそっと様子を見る。

耳を澄ますと会話が聞こえてきた。


「七菜美ちゃん!!今井君めっちゃいい男だよね!ほんと良かったねー」

「えっ?……うん……」

「あー、安心して!狙ってはないから!今井君には、七菜美ちゃんしかいないよ〜」

「そ、そうかな……」

「そうだよ!今井君の事好きでしょ?!」

「うん……大好き!」

「初々しいの〜じゃあ、また教室で!」


そして3人は去っていった。

だ、大好き……

うぉぉぉぉぉ!!!

ヤバい、今にも幸せで爆発しそうだ。

バランスを崩し、角からはみ出てしまった。


「あ……」

「え? 春樹……聞いてたの?」

「あ、うん。ごめん……七菜美がなんか嫌がらせされるかと思って……」

「そ、そうなんだ……あ、ありがとう……」


くっ、気まずい……

すると突然七菜美が俺のふところに飛び込んできた。

俺の背中に腕を回す。


「ちょ?!な、七菜美?!学校だぞ!?」

「ちょっとだけ……」


だからその上目遣いはずるいって……

本当は学校でするべきでは無いが、俺も腕を回し、抱きしめる。

逆に彼女にこんなこと言われて断れないだろ……

数秒すると、七菜美は元の位置に戻った。


「七菜美」

「ん?なーに?」

「顔、真っ赤だぞ……」

「春樹もね!」


あはは!

何だかおかしくて笑いが出る

これがバカップルと言うやつか……

俺の心は幸せで満たされた。

放課後秋大と楓に調理実習の事をからかわれたのは言うまでもない……




~あとがき~

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