第41話 ハプニング②

時間は刻刻と過ぎ、体育祭本番まであと3日となった。

この学校では各クラスごとに数分間音楽を流し、ダンスを行う。

俺らのクラスの完成度はだいぶ高く、この調子だと本番はバッチリだ!

しかし、ハプニングと言うものは起こるものだ……


「坂石〜CD流してくれ」

「えっ、あっ、その……」


七菜美の様子から、どうやらCDを忘れてしまったようだ。

実は昨日、CDが壊れて新しいのを先生が作った。

『俺よりお前たちの方が分かるだろ……坂石、家でチェックしてきてくれ』

そう言って放課後先生が七菜美にCDを渡した。

いや、そもそも先生がチェックしても分かるでしょーに


「どうした?坂石?」

「あ、あの……実は……」


このまま七菜美が怒られるのはなんか嫌だな。

七菜美の事だから家で練習してそのままにしてしまったんだろう。

男として、好きな人の為に人肌脱ぐか……


「あのーみんなごめん!実はさ、昨日練習したくて俺が持って帰ったんだよね。で、そのままにしちゃったみたいだわ、ほんとごめん!」


一瞬無言になったが、みんなの顔に笑顔が出てきた


「今井〜なにしてんだよ!あはは」

「当然バッチリなんだろうな?」

「気をつけろよ〜」

「今日どうする?」

「いや〜ほんとごめんね。おかげでバッチリですわ!今日は俺が手拍子するからアカペラみたいにやってくれないか?」

「しょーがねーな!」

「じゃあ、並ぼーぜ〜」


ふー、何とかなったみたいだ。

みんなが優しくて良かったな……

その後先生には気をつけろと軽く言われた。


練習は無事終わることができた。

チャイムが鳴り、お昼の時間となる。

みんなぞろぞろと教室に帰っていく


「おーい、楓ー今日片付けお前だろー」

「え〜偽りの忘れ物した春樹が片付けなよー」


どうやら楓にはバレていた……


「あーはいはい、分かりましたー」

「じゃ、よろしく〜先に食べとくね〜」


そう言って姿を消した。

まあ、片付けと言ってもスピーカーを戻したりするだけなんだけどね


「春樹……」


後ろから七菜美の声がした。


「お疲れ七菜美〜今日も暑いな!」

「そ、そうだね……それよりありがとう。でも、なんで嘘ついたの?」

「なんでって、そりゃ、七菜美が困ってたからだよ。困っている人がいたら助けるってのがおれの信念みたいなもんだからな!」


目に涙を浮かべ七菜美が俺のふところに飛び込んできた。


「ゔゔ、ほんとにありがとう……せっかく上手くいってたのに、私のせいで練習が台無しになったらって思うと怖くて誰にも言えなかった……ほんとにありがとう……」


ありがとうと言われたのは分かったが俺からしたら、話よりも抱きついている七菜美に意識がいく。

いい匂いがするし心臓が破裂しそうだ。

くっ!理性が……

理性を何とか保ち、それとなく頭を撫でる。


「気にすんな。誰にもミスはあるから……次からは気をつけろよ?あとそういうのは人に言うよーに」

「分かった……」


しばらくし、七菜美は我に返ったのだろう。

顔を真っ赤にし、ごめんと言って俺を弾き飛ばしどこかえ行ってしまった……

はあ……いい匂いすぎだろ……

あとなんかいろいろ柔らかかったな……


片付け終わり秋大達とみんなでご飯を食べたが、七菜美は無言のまま俯いていた……




~あとがき~

体育祭編も残りわずかとなりました。

最後までお楽しみに!

よろしくお願いします!

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