第26話 明日に向けて

今日は5月3日。

明日はついに4人で遊びに行く日だ。

少しハードだった練習を終え、帰宅しながら明日の事を考えていた……


どんな服を着るべきか……

正直ファッションに微塵も興味のなかった俺は、普段はパーカーなどで適当に済ませている。

しかし、明日はそうもいかない。

あの人を頼るしかないか……



「ただいま〜 父さんどこ?」

「おかえりなさい。お父さんなら部屋でなんかしてたわよ」


手洗いうがいを済ませ、荷物を部屋に投げて父さんの部屋に入る。

「はっはっ……あと20!」

どうやら筋トレをしていたようだ。

父さんの趣味はランニング、筋トレだ。

実は俺と同じタイミングでランニングを始めた。

まあ、そんな事今はどうでもいいのだが……


何故俺が父さんを探していたかと言うと、父さんはバリバリオシャンティーさんだからだ。

筋トレが終わり、汗を拭いている父さんに頼み込んだ。


「明日遊びに行くんだけど、服を選んでください!」

「今まで興味無いとか言ってたくせにどうした?なんでか理由を教えてくれたら選ぼっかな〜」


大体分かっている癖に性格の悪いオヤジだ。

父さんは恋愛ものが大好きなため、俺と彩美にそういうことはうるさく聞いてくる。

そのため彩美に嫌われているのは言うまでもない……

面倒だが、今はそれどころではないので、坂石さんとの事を1から話した……


「……ってこと。はい、言ったから選んでね。あと、母さんには言うなよ!」

「分かった分かった。でもお前に好きな人が出来るなんてな〜 ガハハハハ!」


そう言いながら、タンスの中の服をあさり始めた。

「これなんてどうだ?」

ジーパンにシャツに薄いジャケット?を取り出した。


「いたってシンプルだが、無難だな。髪をいじれば結構いけると思うぞ!で、どうすんだ?明日告白すんのか?」


父さんまでこの質問かよ……


「いや、明日は4人で遊ぶだけだ。いつかはするつもりだけど……」

「そうか、ガハハ!困ったことはなんでも聞けよ!あと明日は髪セットしてやるからやり方覚えろよ」


「ありがとう〜」と言いながら、部屋を出た。

頼りにはなるが、どこか腹が立つ。

まあ、これで明日の1番の課題はどうにかなった。

そう安心したが、明日の事を考えるとやはり緊張する。


そうして俺はなかなか寝れない夜を過ごしたのだった……





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