第22話 パリコレ

ついにこの日がやって来た……

今日、俺のこの部屋に坂石さんが来る!

昨日掃除はしっかりしたはず……

一足先に秋大と楓が家に来た。


「「おじゃましまーす」」


俺の親にも軽く挨拶を済ませ、部屋に入ってきた。


「よっ!すげー片付いたな!よし、春樹の部屋が散らかったら坂石さんを呼ぼう……」

「やっほ〜 春樹はそろそろ迎えに行くの?」

「ああ、もう行くよ」


秋大の言葉はあえてスルーしとこう……

坂石さんは俺の家が分からないため、学校の近くのコンビニに待ち合わせて、一緒に行くことになっている。

身支度を済ませ、家を出る。


10分ぐらい歩き、待ち合わせ場所に着く。

時計を見ると、まだ20分程早かった。

暇つぶしにゲームでもしようかと思ったその時、道の奥の方から美女が歩いてくるのが見えた。

路上パリコレ!?

そう思うほど、彼女は輝いていた……


彼女が目の前で止まる。

俺は思わず息を呑んだ。

ばか可愛い……


「やっほ〜 今井君早くない?」

「やっほー 坂石さんほど早くない?」

「そ、それは……待ちきれなかったから……」


待ちきれない。それがどういう意味かは分からなかったが、ものすごくドキドキした。


「じゃ、じゃあ行こっか……」

「うん!今井君の家楽しみだな〜」

「別に普通の家だよ。楽しみにするほどでもないのだよ……」

「今井君の家だから、楽しみなの!」

「え?」

「あ、いや、友達の家はやっぱりワクワクする

な〜なんて あはは……」


友達から恋人に変わる日は来るのかな?

とほほ……


こうして話していると、いつの間にか俺の家に着いていた。


「結構おっきいね!」

「そうかな?じゃあどうぞ」


俺は家のドアを開く。

「おじゃまします」

すると彩美がちょうどリビングに移動していた。


「お兄ちゃんおかえ、ん?誰その美人?おかーさーん、お兄ちゃんがデリバリー頼んでる」


おいこらなんでこの歳でそれを知ってんだよ!


「なんですって!こら春樹どういうことなの…… ほんとに可愛いわね!」


「友達だよ。彩美も変なこと言うな!」

「こんにちは。同じクラスの坂石七菜美と言います。いつも、今井君にお世話になっています。」

「あら、凄く礼儀正しわね。さっきはごめんなさいね。春樹は飛びっきりのイケメンでは無いけど、とても優しいからよろしくね!」

「はい!」

「坂石さん、こっちだよ!」


母さんの事だからもっと面倒な事になると思っていたけど、すぐ済んでよかった〜

まあ夜はいろいろ聞いてくるだろうけど……


坂石さんを部屋に招き、扉を開ける。


「やっほー 七菜美ちゃん待ってたよ!」

「お待たせ楓ちゃん!」

「おい、なんで俺の部屋なのに自分の部屋のようにくつろいてんだよ」

「じゃあ勉強始めよー!」


俺の言葉はスルーされ、勉強会が始まったのだった……



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