第11話

承諾も得ずに賭けを始めた桜の精にスレイブは。


「待ってください!」


「え?」


桜の精は投げたコインを上手くキャッチした。


「ど、どうしたんですか?途中で止めるなんて卑怯ですよ!」


許可も待たずに賭けを始めた自分は卑怯じゃないのかとツッコミたい気持ちを押えてスレイブは冷静に言う。


「すいません、しかしどちらが表でどちらが裏かちゃんと決めて頂かないと賭けは成立しませんよ。」


「ちっ!」


桜の精は後ろをむき小さく舌打ちした。悪い顔だ。


「あ!いま舌打ちしませんでしたか?」


「はいはい、じゃぁこっちが表ね!桜の図柄の方裏は数字の方!」


そう言って桜の精はスレイブにコインを渡し確認させ、すぐに取り返した。


「どうして怒ってるんですか?」


「怒ってませんよ。ルールを決めたんですから賭けは成立でいいですね。それじゃいきますよ。」


桜の精は上手くスレイブを賭けへとのせる事に成功した、そしてコインは高々と空へ舞い桜の精は左手の甲と右手でキャッチした。


「開きますよ?」


「……。」


ゆっくりと手を開く桜の精。コインは表を向いていた。


「私の勝ちですね。」


スレイブはコインをじっと見て。


「そのコイン見せてもらってもいいですか?」


「え?なんでです?」


焦る桜の精。


「いや、少し気になって。」


「嫌です。」


「え?どうしてですか?」


「どうしてもです。」


スレイブの疑いは確信に変わった。桜の精から強引にコインを奪いにかかる。


「怪しすぎる、見せてください!」


「ちょっと待って!あ、ダメです!」


スレイブは桜の精からコインを奪い取った。


つづく

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る