第60話属性竜武器

「その鉤竜に止めを刺しなさい!」


「はい、姉上」


「レイノルド!

 見切りが甘い!

 もっと間合いを広くとって!」


「はい、おばあさま!」


 マリアのパーティーの成長が早いです。

 私達が手取り足取り指導している事が一番の理由ですが、他にも武器と防具の良さが大きいです。

 最初から属性竜の牙で作った武器があるので、亜竜種であろうと楽々と傷つけ斃す事ができるのです。


 次に大きいのが、属性竜の鱗と骨と革で作った防具です。

 属性竜鱗骨革鎧のお陰で、亜竜種の攻撃でも即死が避けられます。

 エマとニカの防御魔法を展開していれば、なおさらです。

 それに、属性竜鱗骨革大楯上手く使いこなす事ができたら、亜竜種の攻撃を受け流しながら、亜竜種に反撃する事ができるのです。


 そのお陰で、パーティーで連携すれば、私達の助力なしで、鉤竜一頭を群れから切り離す事ができれば、狩る事ができるようになっています。

 これは驚異的な速さです。

 まあ、武器と防具を亜竜種製に持ち替えると不可能な事です。

 それに、まだ経験不足で、多くの不安が残ります。

 心配なので、このパーティーだけで狩りをさせる事などできません。


 ですがそれも数日の事でした。

 眼を見張るような速さで、マリア達は強くなってくれました。

 経験不足だけはどうにもなりませんが、それも直ぐに改善されるでしょう。

 問題は何時我々が手を引くかですが、これで意見が割れています。


 ジョージ様、マルティン様、イヴァン、ダニエルは早目に、もう手を放して自由にさせた方がいいという意見です。

 私、ドウラさん、エマ、ニカはもう少し手をかけるべきで、今手放すのは無責任という意見です。

 ジョージ様、マルティン様がどう言われようと、私は手を放しません。

 パーティーを離脱する事になっても、これだけは譲れません。


 それに、元々のパーティーは女四人組のはずだったのです。

 イヴァンとダニエルは無理矢理加わって来たのです。

 ジョージ様とマルティン様は、政治的な要因でパーティーに加わったのです。

 昼の役目によるパーティー編成は仕方ありませんが、夜の私的なパーティー編成は、私、ドウラさん、エマ、ニカの四人組でいいのです。


「いや、いや、いや。

 絶対に手を離すと言っている訳じゃあない。

 ラナが手放したくないと言うのなら、喜んで協力するよ」


 ダニエルが慌てて言い直しました。

 なにを慌てているのでしょう?

 自分の意見にはもっと責任を持って欲しですね。


「そうだよ。

 私も無理に手放したい訳ではないよ。

 彼らの成長のためを思って言っただけだよ。

 だからラナの意見を否定した訳じゃないよ」


 イヴァンも意見を翻しました。

 どう言うつもりなんでしょう?

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