第46話第四皇子

 私達冒険者には内密にされていましたが、魔都の新城代はセントフェアファクス皇国の第四皇子レオン殿下が務めておられ、我々の事を事細かく観察されて、逐一皇都に報告されていたそうです。

 そのレオン殿下の、城伯の地位を与えても召し抱えて、これからも狩りを続けさせるべしとの言葉が、大きくものをいったそうです。


 まあ城伯ならば、宮中伯のように莫大な給料も役職も与える必要がありません。

 最初の条件で築城費用も自己負担となっていました。

 そもそも築城するための土地も、皇国か他の貴族から購入するか、辺境の未開地を自ら開拓しなければいけません。

 その辺境の未開地も、皇国に開発許可を求めて購入しなければいけません。

 既に開拓された土地よりははるかに安価ですが、何事も金が必要です。


 それにしても、いきなり突然城伯とは、信じられません。

 貧乏徒士家の娘が、今日から女城伯だというのですから、笑うしかありません。

 でもそれは私だけではありません。

 パーティーメンバー全員が城伯の地位を得たのです。

 しかも一家に一つではなく、個人に一つの城伯位です。

 

 ジョージ様に言わせれば、毒を食らわば皿までだそうです。

 どうせ城伯の地位を与えるのならば、それで儲けようという判断なのだそうです。

 先ほども言ったように、築城費用は私達の個人負担ですから、その金額が皇国内を流通する事になります。


 私達は莫大なお金を手に入れていますが、それを使わず死蔵している状態ですから、できるだけ使わせたいのだそうです。

 お金だけでなく、私的に蓄えている亜竜種素材や属性竜素材も、できる事なら放出させたいと思っているのだそうです。

 亜竜種肉を食べるだけで身体強化されるというのは、命の惜しい貴族士族のお坊ちゃまには生死を分ける大問題で、金で済むなら大金を積んでも購入したいそうです。


「新城伯」

ラナ   :ホセイ家

ドウラ  :ドウラ家

エマ   :エマル家

ニカ   :ニカル家

ジョージ :ゲイツ家

マルティン:キイツ家

イヴァン :ヤイツ家

ダニエル :ライツ家


 私は実父ペタルの生家、ホセイ家を城伯家の家名にしました。

 まだ療養中のドウラさんと相談して、ドウラさんとエマとニカは、それぞれ自分の名前か名前をもじった家名にされたそうです。

 ドウラは家督を息子さんに譲っておられますが、実は皇国に仕える士爵だったそうで、その家はエマとニカの父親が継いでいたそうです。

 でも今回の件で家督を弟に譲り、エマとニカの後見をされるそうです。


 ゲイツ家に関しては、当主のジョージ様が徒士家から城伯家に叙爵された形です。

 マルティン様とイヴァンとダニエルに関しては、エマとニカと同じように新しい家を立ち上げた形となり、ゲイツ家をもじった新家名を名乗る事になりました。

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