第88話 趣味回 国の要は人。人の要は腰

コロナで何もできないこの日頃、何か世間様の役に立つ技術の一つでも残したいなと思い、 今回の話を入れました。

どちらも重症化すると日常生活に支障をきたすので、対処法を知れば人生に役立つかもしれません。

(個人差と原因も様々ですが、治療法の一つとして何か参考になれば幸いです)



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人間は勝手に生えてこない。

●国や●助はどうか知らないが、この時代の日本では人が増えるのに結構な努力が必要だった。


軍事力が武装した人間の数とイコールだった時代、国力とは人口数に直結する。

だから領主は民が必要以上の力を付けることをいやがったが、結婚して子孫を残す最低限度の生活は保障していた…………………………はずだ。

技術が進んで、多くの人口を養えるだけの食糧は確保できても人口は減り続けているのが現代の先進諸国と言われいる国の現状を見ると皮肉である。


とはいえ過酷な労役などで体をこわしたり老化が進むと、動けない人間は容赦なく切り捨てられていたのも事実だ。

なので、そういった人たちも生産活動に参加できる制度を整える必要があるが、それ以上に病気を予防する教育を進めるべきだろう。


というわけで、まずは手軽に治せる腰痛と痔から治していこう。


腰という字は、『肉の要(かなめ)』と書く体の要所である。

月へんは『にくづき』と呼び 体に関わる漢字につく。

ここが痛くて動きづらくなるのは、体の全てが動きづらくなることである。


腰痛は辛い。


一生、まともな生活ができないのではないかと思うくらい辛いし、対処法をしらないと一生苦しむんじゃないかと思うくらいだ。

「実感こもってますが、なったことあるんですか?」

「腰痛は大学生時代になって、三週間まともに歩けなかったな。整形外科にいってレントゲンをとっても異常なしって言われたから、図書館で本を借りまくって必死に治し方を勉強した。痔に関しては親が掛かっていたから、必死で予防法を探したから未病で防げてる」

さねえもんの質問に答える。


この病気が改善されれば、国の生産力の底上げにつながる。

そうでなくても、腰痛で立てないと言うのは地獄の苦しみなので回避できるなら回避してほしい。(切実)


腰痛は内臓の疾患や物理的な痛みなどでなければ、長時間無理な姿勢を続けることで筋肉が痛んで発生することが多い。

これにより筋肉によって支えられてきた骨もバランスを崩して歪み、さらに筋肉が痛むと言う悪循環が続く。

「だから、腰痛予防の第一歩は姿勢を正す事と、半時(1時間)おきに姿勢を変えたり休憩する事が大事なのだ」

現代だとデスクワークで数時間、同じ姿勢を取り続ける人がいるが、これでは血行が悪くなり筋肉へ十分栄養が行かなくなる。

戦国時代の農作業のように、常に体を動かしていても乳酸がたまって筋肉は堅くなる。

なので定期的に姿勢を変えたり、反複動作を止めて休む事を習慣づけるべきなのだ。

これは痔にも効果がある生活習慣の改善となる。


「本当にそんなのでよくなるんですか?」

と領民に聞かれたので、分かりやすい例をだそう。

「人間の体は血が循環する事で、体の隅々にまで栄養を渡らせておる」

そういうと、俺は町の中を流れている水樋の一部にふたをする。

「悪い姿勢を続けたり、休まずに動くと血のめぐりが悪くなる。それは、このように水路にふたをするような状態となる」

 こうして栄養の行き届かなくなった筋肉は水気を失った枯れ枝のように柔軟性を失い断裂をしやすくなる。

「なので、常に血のめぐりを良くして栄養が滞る事の無いようにする必要があるのだ」


・無理な姿勢を止め、こまめに体を動かしたり休んだりする。


米しか食わない炭水化物中毒の日本人は結構 糖尿病患者も多いので、生活習慣の改善は効果が期待できる。

「予防はわかりましたが、既に腰を悪くした者はどうすればよろしいですか?」

と、腰の曲がりかけた壮年の男から質問が上がる。

「その場合は温めて筋肉を柔らかくする事から始めるべきだな」

人体は寒くなると緊張して収縮し、体温の放出を防ぐ性質がある。

逆に、温めてやると放熱するために血管は広がり、筋肉も弛緩する。

なのでよう打つうの場合は温泉に入って筋肉をゆるめて、マッサージを行わせるのが効果的だ。

 自分のように長時間の立ち仕事で足がむくんで筋肉がガチガチになった人間の場合、温泉のなかでアキレス健伸ばしや、ひざの裏の筋肉をマッサージすると『ゴキゴキ』と嫌なくらい骨格が正常に戻る音がした。

「あと、腰痛は腰以外の部分の筋肉が悪くなって、そこのゆがみが腰に来た場合もある」


また、姿勢の悪さからくる凝りや、ストレスで緊張しやすい筋肉を説明。

人体は体中がホースのように繋がっているので、一部の血行が悪くなると別の場所も悪くなる。

「たとえば、俺の場合、生物の構造上 血の流れが悪い耳たぶや、首の後ろ、顎の付け根、頭皮の全体、ひざやひじなどの関節部分の血行が悪くなると、すぐ腰が痛くなる」

「体全体じゃないですか」

うん。だから血行が悪くなると触っただけで痛くなる、百合や足三里、交合などの体中のツボを把握している。

ツボを刺激すると血管が刺激を受けて広がるので、腰痛の予防には必要不可欠の知識である。


このように血行不順や凝りの解消法と最低限の医学知識を周知させ、体に無理をさせない予防を教育する。


ちなみに、寒い時期だと寒さで筋肉が縮こまるので、マフラーやジャンバーをつけて体温の放出が激しい動脈である首や肘などを温めれば予防になる。

「ああ、確かに体中のツボが痛く感じるなぁ」と老人の一人が言う。

体の不調が酷ければ酷いほど、健康な人間よりも病気の原因がわかるだろう。

「だったら、もう少し勉強して按摩を学び温泉宿で商売ができるな」

腰痛持ちは誰よりも腰痛の辛さが分かるし、どこを押すと気持ち良いかも実感できる。

これはりっぱな技術職だ。

体がうまく動かなくても働ける職場を造れる第一歩となるかもしれない。

別府の堀田温泉とか、そんなマッサージ屋さんが休憩場で待機してたし。


さて、お次は痔の予防法をまとめようか。

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