515球目 マリリン・モンローに見間違えない

 どんなコースにボールが来ても引っ張る。これが、日本一のプルヒッターの信念か?



 烏丸からすまさんがボールを捕って、津灯つとうに軽く返球する。



 すると、夜野よるのが3塁を蹴って、ホームに突っ込んできた。



「バックホーム!」



 津灯つとうが慌てて投げる。夜野よるのの足は速くない。間に合うはず。東代とうだいがボールを捕って、タッチ――。



「ラブパワー!」



 越岳こしだけの代走の恋田こいだが叫ぶと、東代がボールを落とした。



「セーフ!」



 まさかの名手・東代とうだいの落球。彼の顔は赤くなって、目がトロンとしていた。



「おいおい、どうしたんだよ」


「ウップス! ソーリィ、ヨルノがマリリン・モンロー級のグラマラス・レディに見えて」



 東代とうだいの好みって、ボインな女性なのか……。それはともかく、恋田が叫んでから東代が落球したので。何かの超能力を使ったに違いない。



バイザウェイところで、ボスはアオゴーリの時にミスター・ヤカベにチェンジしなかったですね」


「あっ! 俺もすっかり忘れてた。でも、打たれたのはチェンジアップだから、宅部やかべさんでも同じだったかもな」



 俺は気落ちせず、次の安藤あんどうを三振させて、1失点にとどめた。



 3対4、まだまだ逆転可能だ。



(続く)

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