514球目 無理に勝負はしない

「ファール、ファール!」



 ライトスタンドに飛び込む大ファール。少しズレたらホームランだった。



「あっ、あぶねぇなぁ」



 東代とうだいは敬遠のサインを出して立ち上がった。1塁は空いてるから、無理に勝負する必要はない。



「コラ―! 勝負しろ―!」

「弱虫毛虫―!」



 何とでも言え。次の青郡あおごおりを打ち取って黙らせてやる。



 プルヒッター(引っぱりがちなバッター)の青郡あおごおりに対しては外を攻める。



「ストライク!」


「ストライッ!」



 青郡あおごおりのバットは動かない。本当にアウトコースが苦手らしい。これがセンバツ優勝校の4番か?



 3球目は外のスライダー。



「ボール」



 これも打ってこない。あくまでインコースを待つつもりか。



 外角高めアウトハイのチェンジアップで決める!



 青郡あおごおりは左足を少し上げて、大きく息を吸う。狙いすましたかのように、ためたバットを振り下ろした。



「ハッ!!」



 強引に引っ張った打球が、三遊間を抜けた!!



(続く)


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