497球目 虹の橋は渡れない

 左中間への特大ホームラン、これで3点目だ。



 と思いきや、三原みはらが地面から虹を作って、その上を走って行く。虹の橋を走って、ホームランボールをもぎ捕った。



「アウト!」

「んなアホな!」



 虹の橋を作って渡るとはなぁ。鹿の友野ともの、ウサギの千本せんもとさん、虹の橋の三原、これが強豪チームの超能力か。



 ただ、火星ひぼしはタッチアップで2塁に進んでいた。次の東代とうだいが送りバントを決めて、2死3塁になる。



「ねぇ。どのコースがスキかしら?」

「真ん中低め」



 今度は好きなコースかい。そのコース通りに投げてきて、宅部やかべさんのピッチャー返しが炸裂。



 夜野よるのの股下を抜けてセンターへ。



「させるかぁ!」



 友野が2塁ベース上でボールを捕り、1塁へ素早く送球。宅部やかべさんはアウトになった。



「ドンマイ、ドンマイ! 切り替えましょ」



 3回表は夜野よるのからだ。彼女は俺を見て、少し笑った。



(続く)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る