57球目 ユニフォームが似合わない
ついに、初の練習試合が明日に迫った。俺達は練習前に、家庭科室に集められてミーティングだ。
トイレに時間がかかった俺は、家庭科室の到着が開始5分前になってしまう。
「お疲れ様でーす」
家庭科室は5つのグループに分かれていた。
俺はどのグループにも入れない“ぼっち”だ。一番後ろの席でカメレオンのごとく壁と同化する。わずか5分が長く感じられた。
「皆さん、お待たせー。今日はスタメンとアレを発表します」
グル監がエプロン姿のまま現れる。主婦の雰囲気がしっくり合っていて、国民的人気アニメの主役を張れそうだ。
「アレって何ですか、先生?」と、
「ウフフ。野球部と言えば、これが必要でしょう?」
彼女がエプロンを取って、Yシャツを脱げば、野球のユニフォームが出てくる。白地に黒い縦じま、胸には
「白い砂浜と海をイメージして作ったんよ。ちなみに、アンダーやストッキングは紺色よ」
「めっちゃええデザインやん。グル監、ありがとう」
「何か燃えてきたでぇ!」
皆の熱気が教室内にこもる。俺も半年ぶりにつけるユニフォームに
「次は明日の試合のスタメン発表するよ」
(初の練習試合まであと1日)
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