第18話
「ふーん。それで学校では違う呼び方だったと」
「「はい」」
俺たちはあだ名のことも聞かれて、話した。
「そんな事気にする必要ないと思うぞ」
「うんうん。嫉妬する人がいるなら、もうとっくに嫉妬してるし」
「そうか? 普通に話してるだけで?」
「いやいや、あれで普通とかどこのバカップルよ」
「え!」
俺たちってそんなにイチャイチャな会話をしてたのか?
「まず、授業中にからかいあったりしないって」
「いや、あれは結衣が背中をちょくちょく叩いてくるから」
「だ、だってけいくんの反応見るの楽しいもん」
そう言って言い訳のような事を言う結衣。
「いやいや、それがバカップルって言うのよ」
「俺たちでもそんな事はやらないぞ」
「そうよ。それに授業中にそんな事をしてたりするのにテストの点数が地味に高いから腹立つのよね」
「いやいや、有紗さんの方が高かった気がするけど」
「私真面目に授業受けてるし。それに勝ってるって言っても10点くらいでしょ」
有紗さんはそう嫌味そうに言ってきた。
「うーん。遠い学校に行くために勉強がんばったしな」
「うんうん。私もクリスマスも元旦も全部勉強に使ったからね」
「なんでそんなにがんばってるのよ」
「別に近い学校じゃ駄目なのか?」
「ま、まぁ色々事情があったんだよね」
そう言って結衣は俺の方を見てくる。俺は結衣が言った言葉に頷いた。
「あなたたちも大変なのね」
「も? ってことは有紗ちゃんたちも色々あったの?」
「まぁな。それはがんばって乗り越えるけど」
過去に色々あった人って意外といるもんだな。
そう言う話をしているといつの間にか、お昼頃になっていた。
「そろそろ、お昼ご飯にしない?」
「だねー。お腹も減ってきたし」
「お昼ご飯何にするんだ?」
「今日は俺の当番だし、俺が適当に作るよ」
俺はそう言って立ち上がろうとした。しかし「ちょっと待って」と有紗さんが言った。
「いや、私たちで作りましょう。結衣ちゃん」
「いいよー。じゃあけいくんたちはゆっくりしててねー」
「はーい」
「ありがとな」
俺はそうお礼を言うと、有紗さんは手を振り俺の言葉に応えた。
「じゃあまあゆっくりするか」
「だな」
俺たちはそれぞれ休んでいた。しかし途中で聡太に話しかけられた。
「なぁ、圭人」
「なんだ?」
「お前って本当に告らないのか?」
「何回も言ってるだろ。無理だって」
聡太と出会ってから会うたびに言われるような言葉だ。
「絶対に成功するって」
「いや。それに俺が結衣に抱いている感情は多分違うものなんだよ」
俺は結衣に聞こえないように、聡太の耳に口を近づけて話した。
「はあ。自分の感情にすら気付いてないのかよ」
「ちょ、声大きいって」
俺の言葉を聞いた聡太は、大きめの声で言葉を発した。
「じゃあ一個質問するぞ」
「ああ、分かった……」
「もし結衣さんが、お前じゃない男と付き合ってやる事全部やっていたとしたらどう思う?」
「やる事全部って?」
「もう、する事全部だ。キスとかそれ以上の事も」
「それは……」
その事を想像してみた。するとなんかモヤモヤしたような、腹立つようなよく分からない感情になった。
考えていると聡太に付け加えられた。
「嫌か、嫌じゃないかで言えよ。結衣さんがいいなら良いって言うんじゃなくて、自分の気持ちで答えろよ」
「それは……」
絶対に嫌だ。想像だけでこんな気持ちになるんだったらもし本当にあったら耐え切れないくらいかもしれない。
「嫌だ」
俺はいつの間にかそう呟いていた。俺が呟いたのはたった一言の言葉だった。しかし、聡太はその言葉が欲しかったと言わんばかりの顔になった。
「その気持ちが恋だよ」
「そうなのか?」
「そうだとも。最初に同居になるってなった時に色々考えたんじゃないのか?」
「確かに考えたな」
あの時はそれのせいで結衣が悲しそうにしていたからな。考えるのをやめようとなったんだ。
「それも恋なんだよ。小さい頃からずっと一緒なんだろ?」
「ああ、家が隣でいつの間にか遊んでいたってかんじだな」
「小さい頃からその感情を持っていたせいで、気づかなかっただけなんじゃないのか?」
言われてみればそうかもしれない。結衣以外にはこの感情を抱くことは絶対になかった。
そう考えて俺は呟いた。
「……そうだな」
「やっと本当の気持ちに気づいたのか。なら告白までいけるな」
そう言って聡太は親指を立てた。
しかし、
「いや、それは無理だ」
告白は無理だ。
「なんでだよ!」
そう言って聡太は立ち上がった。結衣たちにも聞こえていたかもしれない。しかし、それも忘れているような顔で。
「……明日その理由を話すよ。二人っきりで会えるか」
「……ああ、分かった」
俺はまだ興奮状態の聡太にそう言ってその話は終わった。
そのあと結衣と有紗さんがが作ってくれたご飯を食べて、そのあとも遊び聡太と有紗さんは帰って行った。
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