第566話 無双会議
ニルヴァナは、歴史上稀に見るくらいの一時的な人口増加をしていた。各国の要人とその護衛などだけではなく、情報を嗅ぎつけてきたマスコミなども大挙して押し寄せていた。そんな騒がしい中、無双鉄騎団は再集結を果たす。
「それほど月日が経過したわけでもありませんが、随分と久しい感じがしますわ」
久しぶりに会ったリンネカルロは無双鉄騎団の面々の姿を見て、そう評する。
「とりあえずは酒だな。久しぶりに集まったんだ、宴会といこうや」
オヤジは会議なんかより宴会の方が楽しみのようで、すぐにそう提案した。
「父上、宴会もいいですけど、今は情報交換の方が先決です。勇太たちの方では結構大変なことになっていたようですし、会議を優先しましょう」
オヤジは清音の正論に対しても屁理屈で対抗する。
「会議なんぞ酒を飲みながらでもできるだろうよ。会議と宴会、同時にすりゃあ一石二鳥じゃなえか」
「二兎追うものは一兎も得ずということもありますよ。今後の動きを決める大事な会議です。お酒を入れて話すような事じゃないでしょ」
さすがのオヤジも娘の清音には頭があがらない。それ以上言い返すことができなくなって、無意味にウロウロし始めた。
そんなオヤジを尻目に、すぐに会議は始まった。議題は結社ラフシャルに奪われてしまった二人の英雄とユキハ王女の救出と、ラドル枢軸連合への対応についてだ。ジャンがこれまでの経緯を説明すると、リンネカルロがすぐにこう発言する。
「メルタリア王国の動乱の首謀者も結社の人間でしたわ。どうやらどの国にもネズミが入り込んで悪さしていたみたいですわね」
リンネカルロの言葉に清音も頷きながら続く。
「西方国家もそうです。各国家の協力もあって大部分は害虫駆除できましたけど、内戦で国々の被害は甚大でした」
「どっちにしろ結社と遺恨の残った国家が今このニルヴァナに集まっている。それを結集させて、ラドル枢軸連合に対抗させるしかねえだろうな」
確かにラドル枢軸連合の件も大事だとは思うが、俺はどっちかというともう一つの議題の方が気になる。
「それより、俺は早くユキハを助けにいきたい。位置はわかっているんだろ?」
「わかっているが最悪の場所だ。ラドル枢軸連合の勢力圏のど真ん中じゃ、無双鉄騎団だけで奪還しに行くのは無理がある。やはり先にこちらの軍事連合を設立させて、協力してもらうしかないな」
「利用するの間違いじゃないのかい。集まった国家のみなさんは、アムリア連邦の大統領以外は人質や英雄に興味がないだろうしね」
アリュナの指摘にジャンはこう言う。
「まあ、利用するって言えばそうかもしれねえがな、あちらさんには選択の余地がないだろうからな、大きな脅威に弱者は集まって贖うだけだ」
確かにそれは言えてそうだ。現に多くの国から無双鉄騎団に仲介の申し入れがされていた。おそらくそう言う場を設けるだけで、軍事同盟は成立しそうな勢いだった。
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