第565話 ニルヴァナ
無双鉄騎団の集結場所はメルタリアの北部の都市であるニルヴァナに決まった。ニルヴァナは大都市というほど大きな都市ではないが、古い遺跡が数多くある歴史のある地域で、観光地のイメージが強いそうだ。なぜそんな場所に集合することになったかというと、単に別動隊との位置関係でどの隊からも移動しやすいという理由だ。
目的地も決まり、すぐに移動しようとしたのだけど、アムリア連邦から至急の連絡がきた。
「現在、アムリア連邦は、ラドル枢軸連合の結成に対抗する手段を検討中です。これまでにない大規模な同盟関係を構築する準備があり、西方国家との関係構築を考えています」
例の軍事同盟の名称は、ラドル枢軸連合と正式に決まったようだ。結社の表の顔であるラドル・カンパニーをもう隠すこともないのか、枢軸連合をまとめた功労者として表に出てきていた。
「それで我々にどういった依頼を?」
「無双鉄騎団がメルタリア王国へ向かうことは聞いています。それに同行させて欲しいと考えております」
「メルタリア王国や西方国家とのパイプ役をして欲しいということですか」
「はい、残念ながらアムリア連邦は西方の国々との関係は薄いです。西方国家への影響力のある無双鉄騎団が間に入って頂ければ大変助かります」
「わかりました。そういう依頼でしたらお受けしましょう」
こうして、アムリア連邦の使節団と同行することになった。この使節団だけど、外交官や大臣クラスの人たちで構成されていると思っていたのだけど、なんと、ラネル大統領本人が率いていた。
「ラネル、内戦でボロボロになっている国内の立て直しで忙しいんじゃないのか?」
「国内の再生計画は全て命令書を作成して任せてきました。今は一刻も早く、防衛の抑止力となる軍事協定を締結させるのが先決です。その為、できればその場で条約を結べるように、主要な要人を連れてきているくらいです」
「なるほどな、その為に各国の主要人物も集めてくれってお願いしているのか」
「はい、本来ならそんな無謀な収集は難しいでしょうが、今の無双鉄騎団でしたら可能だと思いましたので、大変恐縮ではありますが、お願いさせていただきました」
ラネルの言うように、無双鉄騎団の呼びかけによりメルタリア王国を始めとする西方国家の多くが、ニルヴァナに集まることになっていた。ジャンが言うには、俺たちの影響力というより、どこの国もラドル枢軸連合に危機感を抱いていることが大きいのだろうとのことだ。
「それと話は変わるけど、ユキハの件はすまなかった。必ず、俺たちが助け出すから」
「いえ、無双鉄騎団がその場にいてもどうしようもなかったのなら、誰がいてもそう言う結果になったのでしょう。それに姉は強い人間です。人質になってるくらいでめげる人じゃありませんし、もしかしたら自力で戻ってくるんじゃないかと思っているくらいです」
俺たちに気をつかっているのかラネルは気丈にそう言ってくれた。だけど、その言葉に甘えるわけにはいかない、必ず、ユキハを救出して、英雄も奪還することを心の中で誓った。
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