第559話 弱みと強み
「フィストア!! 汚い真似してくれたな!!」
「ふっ、私は目的の為に全力を尽くしただけ、それを汚いと言うのなら、いかようにも責めてもらって結構だ」
「開き直るな!」
「勇太、復活した英雄たちと私が話をします、遺跡に入ってください」
「そうか、このままだと英雄が奴らに利用されるかもしれないからな、わかった」
しかし、遺跡に向かうのをフィストアが止める。
「おっと、無双鉄騎団はしばらく動かないでいていただきたい。英雄たちはこちらで丁重に迎えさせてもらいます。大人しく我々が去るのを見守って頂ければ幸いです」
「そんな命令聞くと思ってるのか」
「聞くしかないと思いますよ。なにしろこちらには人質がいますからね」
「人質だと!?」
ダナティーアはゆっくりとユキハに剣を向ける。そして部下に命令してアムリア王国の人々に武器を向けさせた。
「どういうことですかフィストアさん……」
「申し訳ありませんユキハ王女、このような行動はなるべくしないつもりでしたが、先ほど発言したように私は目的の為には手段を択ばない主義なのです。まあ、そうは言ってもアムリア王国の人たちとは短いながら行動を共にしてそれ相応の愛着はある。無双鉄騎団の人たちがが適切な対応をしてくれることを心の底から願っております」
勝手な事を言う奴だ。まるでアムリア王国の人たちに何かあったら、こっちが悪いとでも言いたいのかよ。
「魔導機隊はいつでも動けるよ。一気に制圧すれば人質を助けれるかも」
ナナミがそう意見するが、ジャンがすぐに否定する。
「いや、そう簡単な相手じゃねえ。それにあいつらはプロだ、こちらが動けば人質を躊躇なく殺すだろうよ」
「くそ……どうすることもできないのかよ」
「まずは向こうの言う通り、こちらは動かないようにしよう。人質の命が優先だ。しかし、安心しろ、英雄は後で必ず奪還する。今、ラフシャルに追跡できるように準備をさせている」
そうだな、今はそれしか方法はないか……。
「英雄の収容も終わったようだ。それでは我々はこれで失礼するよ。悪いが、ユキハ王女はしばらく我々と同行してもらおう。天下の無双鉄騎団に追ってこられては厄介だからね」
くそっ、それも読まれてるか。
「大丈夫です。ラフシャルはおそらく英雄たちの特殊な力を追跡する装置を用意しようとしているはずです。かなり距離が離れても追跡は可能でしょう。それに英雄たちはそう簡単には彼らに協力することはありません。二人とも義と情に厚い人物です。人質をとって自分たちを手に入れたと知ったら、必ずそこから離れるでしょう」
フェリは自信に満ち溢れたような口調でそう主張する。よほど友人である英雄たちを信頼しているのだろう。
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