第537話 反撃開始
集まった戦力も二万を超え、ここまでクーデター軍にいいようにされていたが、いよいよラネルが反撃する番になった。
連邦国内の状況を整理すると、クーデター軍の命令系統は中央地区に集中していることがわかった。ここを叩けば各地のクーデター軍はまとまりを失い、確実に勢いを失うだろう。
「中央地区のクーデター軍を叩くのにはもう一つ理由がある。情報ではヴァルキア帝国とリュベル王国の軍も中央区に布陣しているそうだ。外部の勢力を追い出し、国家としての威信を内外に知らしめる為にも大きな意味がある」
「ヴァルキア帝国とリュベル王国が相手なら思いっきり戦えそうだしな」
「その通りだ。クーデター軍は両国の軍を頼りにしているだろうからな、それを叩けば鎮圧の目星も付いてくるだろう」
「簡単に言いますが、中央地区にいる敵対勢力は五万を超える戦力だと言う話ですが……こちらは二万ほど、勝てる算段はあるのですか」
連邦軍の将軍の一人がもっともな意見を発言する。しかし、我らが大統領さまはその事については一ミリも心配していなかった。
「こちらには無双鉄騎団がついています。その程度の戦力差なら問題ないでしょう。さらに、五万の戦力、その全てと戦う必要はありません。クーデター軍に加わっている一般兵の多くは上官に従っているだけで、自分の意思で参加している者は少ないでしょうから、戦力の要となっているヴァルキアとリュベルの両軍を倒せば、きっと戦う意志を失うはずです」
「ということだ。俺たちの攻撃目標はヴァルキア、リュベルの両軍に絞る。クーデター軍はなるべく放置の方向でいくぞ」
戦闘方針も決まり、戦う相手が明確になった。後は実行するだけだ。ラネル率いる連邦正規軍は、中央地区へと向かった。
中央地区に進軍して、まずおこなったのは敵の布陣を確認することだった。ありがたいことにクーデター軍とリュベル王国軍、それにヴァルキア帝国軍は離れた場所に布陣していた。実際は味方でも、やはり別の国の軍隊と密集して一緒にいるのは嫌なようだ。
「離れていると言っても、各個撃破するには近い距離だな」
「この布陣なら、まずはリュベル軍を叩いた方がいいんじゃないか?」
「おっ、偶然だと思うが、勇太の意見なのに珍しく正解だな」
ジャンの言い方の問題だろうか、正解しても嬉しくない。
「リュベル軍を東側から攻撃すれば、位置的にヴァルキア帝国が駆けつけてきても挟み撃ちにされることはないし、クーデター軍からも遠いから都合がいいしな、まずはリュベル軍を徹底的に叩くとしよう。ラネル大統領、その作戦でいいか?」
ラネルはジャンのフレンドリーな確認に嫌な顔一つしないで作戦に合意した。
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