第535話 大軍の正体
なんとか任務を終えて旗艦した俺と渚は、途中で現れた大軍の事をジャンに伝えた。ヤマトを始めとするアムリア連邦正規軍は、すぐにその場から移動することになった。このままここに留まれば、あの大軍とぶつかることになり、そうなるとどちらもタダでは済まなくなる。
「それにしても、あの規模の軍がクーデター軍に合流するとは驚きだな」
「それだがな、フェリがアルレオ弐の記録を分析してくれてな、その軍の正体がわかった」
「正体ってなんだよ、新たにクーデター軍に加わった勢力だろ?」
「いや、そうじゃなかった。あれはリュベル王国とヴァルキア帝国の正規軍だ」
「なにっ!!」
俺は驚き、それを聞いていたラネルは表情を曇らせる。
「クーデター軍とリュベル、ヴァルキアの連合軍が手を組んだということですか?」
「そう考えるのが普通だな」
「いくら現政府に不満があるからといって、外敵と手を組むなんて……」
「とにかく、通信妨害装置を破壊して通信が回復したこともあるし、なんとか国内をまとめて連邦軍を招集するしかないだろうな、対抗するにしてもこちらの戦力が少なすぎる」
「わかりました、それはお任せください。すぐに各方面に働きかけます」
連邦の立て直しはラネルに任せるとして、無双鉄騎団としてどう動くか選択をしなかればいけない。
「ジャンどうする、オヤジやリンネカルロたちを呼び寄せるか?」
「そうしたいとこだがな、向こうは向こうで大変な状況らしい」
「苦戦してるのか?」
「苦戦というより、単に対応しなければいけないタスクが多すぎるようだな。まだまだ終わりが見えてこないそうだ」
「そうなると、やはり俺たちだけでどうにかするしかないのか」
「ヤマトは強力だからな、少数精鋭とかという考えは好きではないが、連邦の態勢が立ち直れば戦力的にはどうにかなるだろう」
それから回復した通信を使って、ラネルが呼びかけを続けた。それにより、状況が分からず動けなかった連邦各国も、大統領の元へと収集し始める。さらに指揮官の命令により強制的にクーデター軍に加わっていた兵たちも状況を知ることとなり、独自の判断で動く者たちも現れ始める。
「どんどん集まってくるな」
「小隊規模などでバラバラに駆けつけてくれる兵たちも多く、現状に合わせて軍を編成させています」
集まってくる連邦の勢力の中には、知った顔もやってきていた。指導経験もある連邦のエースライダーの、マルムム、ミルムムの双子、さらに大男のペフー、そして転移の先輩である日本人のサトルが、将軍になったレジナントが指揮する師団として駆けつけてきていた。
「お久しぶりです勇太教官!」
「マルムムとミルムムか、久しぶりだな、元気にしてたか」
「はい、私たちはいつも元気です!」
二人の変わらない笑顔に安心する。もしかしたら顔見知りの連邦軍の連中がクーデター軍に参加してるんじゃないかと少し想像したこともあったので、こうしてラネルの呼びかけに駆けつけてくれたことに嬉しく思った。
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