第517話 救援へ

「私、すぐにアムリアに戻る!」

友達でもあるラネルのことが心配なのか、渚はすぐにそう決断する。冷静な判断ができていないのかすぐにディアテナに乗り込もうとする渚を止めた。


「待てよ! 気持ちはわかるけど、一人でいってどうする。無双鉄騎団から部隊を編制するからちょっと待て」

「だけど……」

「心配するな、無双鉄騎団にとってもアムリア連邦はだいじなクライアントだし、俺にとってもラネルは友達だ、必ず助けに行く」


それから至急の会議となった。複数の依頼に対してどう部隊を分けて対応するか話し合う。

「まず、大きな依頼になりそうなのがアムリア連邦とメルタリア王国の案件だな。これとそれ以外の依頼を一つとして、最低でも三つの部隊に分ける必要がある」

「フガク、ムサシ、新造艦のヤマトを各旗艦とするとして、問題はライダーの振り分けだね」


ヤマトは、ラフシャルがライドキャリアも一から作りたいと、密かに設計していた艦で、無双鉄騎団の規模が大きくなった事を機に新造された。戦闘力ではフガクやムサシを遥かに凌駕する怪物艦だそうだ。


「勇太と剣聖殿は分けるとして、もう一つの部隊には清音かリンネカルロを編制すればいいと思うがどうだ」

「そうね、どこの現場が厳しいかわからない以上、均等に戦力を分けるのがいいでしょ」


時間もないことから話し合いは急ピッチでおこなわれ、三部隊の編成が決まった。メルタリア王国での対応はリンネカルロをリーダーとして、エミナ、アーサー、ロルゴ、ジュネージュなどを中心メンバーとして、フガクを旗艦にその他、三隻のライドキャリアに100名のライダーで構成された。


アムリア連邦に向かうのは、新造されたヤマトを旗艦にした部隊で、ジャンが指揮をし、俺、渚、ナナミ、ファルマ、アリュナなどが中心メンバーとなる。一番遠い場所へと向かうので足の速い艦を集め、ライダーの数も抑え、50名と三部隊で一番少なく編成された。


残りはエミッツが指揮する旧剣豪団メンバーを中心に編成された部隊で、広範囲の依頼に応える為に、規模では三部隊で最大となる。メンバーはオヤジ、清音、ブリュンヒルデ、トリス、ミスティーが中心で、五隻のライドキャリア、180名のライダーが所属する。


三部隊はフェリが開発した新規格の通信装置で繋がり、長距離でもスムーズに連絡を取り合える。状況によってはお互いに協力し合い、厳しい現場には援軍を送れるように体制を整えた。


素早く補給を行い、三部隊はすぐに行動を開始した。俺もヤマトに乗り、アムリア連邦へと向かう。


「それでアムリアはどんな状況なんだ?」

「残念だが詳しくはわからない、通信障害があって、直接、ラネル大統領と連絡が取れない状況だそうだ」

「なんだよそれ、言霊箱に通信障害なんてあるのか?」

「ラフシャルの話だとそういう技術も存在するらしい」


状況がわからないのが一番困る。渚も気が気じゃないのかウロウロと落ち着きがない。とにかく、連邦がどういう状況かは置いておいて、ラネルたちが無事であればよいのだけど……。

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