第450話 強敵の出撃
後退して仕切り直しを図ったエリシア帝国軍の陣地から、十機ほどの魔導機が先行してこちらに向かってきた。俺は空かそれを確認できたが、地形の関係で地上ではまだ確認できていないだろう。俺は連合軍の司令官にそれを伝えた。
司令官は少数部隊について、敵の陽動部隊だと判断した。俺も当初はそう思ったが部隊の雰囲気をみて考えを改めた。特に先頭を進むピンクのスリムな魔導機にただならぬ気配を感じる。あの部隊は戦うことを目的として動いているようにしかえみなかった。
先行する少数部隊の動きに合わせて、敵の全軍も動き出した。見ると、敵の多くが妙な形のアローを装備している。白兵戦での突破が難しいと考えたのか装備を変更して戦法を変えるようだ。
しかし、それよりも少数部隊の方が気になる。動きを見ていると峠の入り口に向かっているようだ。そこにはヴァジュラ改がいる。ナナミが負けるとは思わないけど、危険な相手である可能性が高い。
どうする……ナナミの手伝いにいくか、それとも戦法を変えてきた敵軍に対応するか……。
悩んだが、ここはナナミを信じることにする。とりあえず少数部隊の動きに注意しながら、敵軍に打撃を与えるように動くことにした。
「ナナミ、そちらに強そうな部隊が向かってるから気をつけろよ。手に負えないようなら言ってくれ」
「大丈夫、ナナミに任せて、頑張るよ」
「ファルマ、再侵攻を開始した敵軍が戦法を変えてきたのが不気味だ。味方の陣地に近づく前に叩くぞ」
「うん、わかった」
ファルマはすぐにその指示を実行する。遥か上空から信じられない速度でアローを連射する。光の矢は進軍する敵軍に降り注ぎ、次々に敵機を破壊していく。
俺も攻撃を再開する。アルレオ弐の魔光弾は威力は強いけど有効射程は短い。射程の長いファルマのアローと違って、空から攻撃するにしても近づかなければならず、どうしても低空飛行しながらの攻撃となってしまう。
遥か上空のガルーダⅡにはどうすることもできない敵だが、低空のアルレオ弐にはいびつで不気味な形をしているアローで反撃してきた。
ここで敵の持つアローの性能が判明した。矢の速度も速く、威力も強そうで、さらに連射できる遠距離攻撃兵器だった。無数の敵機から放たれるアローは数えられないほど大量で空を埋め尽くす。さすがに避ける隙間もなくかなりの数が被弾する。
しかし、いくら強力そうといっても魔導光学兵器ほどの威力は無く、カンッカンッと乾いた音を響かせてアルレオ弐の装甲に弾き返される。
「敵、ガンアロー36発被弾、アルレオ弐の装甲へのダメージは微小」
フェリが俺の印象通りの報告をしてくれる。これくらいの威力なら気にする必要はないかもしれない。被弾しながらも俺は魔光弾での攻撃を続けることにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます