第435話 いどころ
まさかファルマから通信があるとは思って無かった。今いる座標を送ってもらい、それをフェリが解析してファルマの居場所がわかった。すぐにそこへ向かう。
山奥にある屋敷の敷地にガルーダを確認する。そこにいるとわかっていたけど、実際目にしてホッと一安心した。
「勇太!」
ファルマはアルレオ弐から降りてくる俺を見て、大きく名を呼んだ。俺が笑顔でそれに応えると、なぜか顔を手で覆って泣き出してしまった。
「どうした、ファルマ!」
心配になり駆け寄る。ファルマは泣きながら、ベルファウストさんの件、それに母親の死について話を始めた。ときおり、感情が高まって言葉につまるが、ゆっくりと時間をかけて、自分の思ってること、これからどうしたいとか説明してくれた。
「ごめんなさい……みんなに心配かけて、勇太も急いで駆けつけてくれて……私、なにやってるんだろう、迷惑ばかりかけてるよね」
全て話し終えると、ファルマは自分が勝手に飛び出したことでみんなに迷惑かけたと感じたのかそう謝罪する。
「少なくとも俺は迷惑なんて思って無い。他の連中も心配はしてるだろうからな。それより、デアグラフル侯爵のいどころについておばさんに確認しよう。急がないとエリシア帝国に全部持ってかれるからな」
「勇太、手伝ってくれるの」
「あたりまえだろ。俺にとってもベルファウストさんは恩人なんだから、デアグラフル侯爵のやったことを許せない」
その言葉に安心したのか、ファルマは寂しい表情ながらも少しの笑顔を見せた。
ファルマのおばさんは俺を見て頷くと、挨拶もそこそこに、どこかに連絡をし始めた。どうやら人脈を使ってデアグラフル侯爵の居場所を探ってくれるようだ。
「貴方はファルマとはどんな関係なの?」
連絡を終えたおばさんが、暖かい飲み物をテーブルに置きながらそう聞いてくる。
「仲間であり、友人でもあります」
そう答えると、なぜか少し残念な表情をした。
「そう、恋人だったら嬉しかったのだけど、そこまで望んではいけないわね。でも、少しでも気があるなら考えてあげてね」
「ちょっと、おばさん!」
おばさんの言葉に、ファルマが慌ててそう制止する。それに対して俺は照れたように笑ってごまかした。
「それより、デアグラフル侯爵のいる場所はわかったの?」
ファルマが話を本題に戻す。
「私の友人がデアグラフル侯爵の居場所を調べてくれているので、すぐにわかると思います。でも、本当に二人でデアグラフル侯爵を討つつもり? いくらなんでも無茶じゃありませんか?」
「おばさん、勇太はね、軍隊なんて目じゃないくらいに凄く強いんだよ」
「凄く強いって言ってもね、軍には魔導機が沢山いるんだよ。貴方たちが思っているより厳しい状況になると思いますよ」
心配そうにそういうおばさんに、俺はこう約束した。
「どんなに厳しい戦いになっても、ファルマは俺が必ず守ります」
おばさんはそれを聞いてようやく安心したようで、笑顔で俺を見た。
それからしばらくして、おばさんの友人から連絡があった。デアグラフル侯爵の居場所が判明したそうだ。その場所は俺やファルマどころか、おばさんすら驚くところであった。
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