第356話 暴走する群れ/結衣
ブリュレ博士の案内で、暴走するガーディアンが跋扈するエリアへと進軍した。そこは遺跡の一部である広大なドームの建物の中で、ここを抜けないと二人の伝説級ライダーのもとへはいけないそうだ。
「結衣、想像以上に数が多い。こちらに引き寄せて、一つずつ撃破しましょう」
メアリーが言うように、確かにガーディアンはかなりの数だった。ざっとみただけでも500機はいるだろう。しかも全てが上位種で、エクスランダー並みの戦闘力がある。この状況を目にすると、剣王でも手に負えなかったのには納得した。
安全の為にはメアリーの提案が良いように思うけど、それでは時間が掛かりすぎる。私は代案をメアリーに伝えた。
「私は単騎で中央に突撃してガーディアンを駆逐します。メアリーは部下を指揮して、一機ずつ引き付けて撃破してちょうだい」
「結衣、少し性格変わった? あなた、そんなに勇猛果敢だったかしら」
そう言われて少しドキッとする。私、性格が変わったのかしら!?
「効率の問題だから。私だって本当は敵に突っ込むなんてことしたくないわよ」
「まあ、今の結衣ならガーディアンごときに後れを取ることもないだろうけど、あまり無茶はしないでよね」
強くなっても、純粋に身を案じてくれる友人に感謝する。
無数のガーディアンに向かっていくのに恐怖は感じなかった。それは力量の差を認識していたからだ。エクスランダーくらいの力では、今の私には通用しない。
エルヴァラ改の姿を認識したガーディアンの目の色が青から赤へと変化する。そして一斉に私に襲い掛かって来た。
最初に飛び掛かって来たガーディアンをレイピアで貫く。貫かれたガーディアンは、破損個所から広がった黒い靄に侵食されて四散する。エルヴァラ改に備わった闇の魔導撃、ブラックミストの威力は絶大だ。小さな傷をつけるだけで、急速に腐食させて相手を破壊する。
さらに三機のガーディアンが襲い掛かってくる。高速ステップでその攻撃を回避すると、連続突きで三機を同時に攻撃して貫き倒した。
暴走しているガーディアンは感情がないのか恐れることを知らない。仲間を倒されても次々に飛び掛かってきて、鋭い爪や鋭利な牙でエルヴァラ改を破壊しようとしてくる。あまり想像したくはないけど、ニトロルーディアで強化される前であったら、最初の攻撃で私は簡単にやられていただろう。それほど強力なガーディアンなのに、今のエルヴァラ改の前では無力である。素早い動きはスローモーションのように見え軽く避けることができる。力なくレイピアを振るうだけで、敵を簡単に倒せる。私はガーディアンに微塵の脅威も抱かなかった。
メアリーや部下たちも驚異的な強化を得ているはずだけど、やはり上位ガーディアンを相手にするのは簡単ではないようだ。連携を駆使して、少しづつ駆逐している。一対一では不利なようで、油断した部下はガーディアンに手痛い傷を受けている。
スカルフィの部隊は、ニトロルーディアを受けているようだけど、精鋭ではないようで、まったくガーディアンに通用していない。スカルフィが一人、奮闘しているだけで、あとは完全なお荷物状態であった。
私以外の戦いを見て、ふと思った……私はどれだけ強くなっているのだろう……スカルフィは天下十二傑ということらしいけど、今の私なら瞬殺できる。いや、ここにいるガーディアンを含め、全ての戦力と戦っても負ける気がしない。
そう考えると無性に怖くなった。それは自分の強さに対する恐怖ではなく、そう言う考えをしてしまう思考に対してだ。
私は自分の強さに酔ってしまっている……。
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