第54話 小休止

昼間の砂漠で、オレ達は小休止を取っていた。

砂漠の中に岩が突き出ている一角があり、丁度日陰ができていたのだ。

しかしその先はまた砂の世界だ。

「今のところ順調なのかな?」

俺が言うと、

「地図によるとそろそろ半分くらい、かな?」

とゲネオスが返した。


地図をたたむと、ゲネオスは少し離れたところにいるミラヤに近付いていった。

ミラヤは日陰になった砂の上に腹をつけて休んでいたが、ゲネオスが来るのに気付いて立ち上がった。

「そろそろ行こうか、ミラヤ」

ゲネオスはミラヤの首の辺りをポンポンと叩いた。

ミラヤはニコッと笑うような表情を浮かべた。


「あれ、ミラヤ、縮んだ?」

ゲネオスとミラヤとは顔を向かい合わせていたが、ゲネオスの目からはミラヤの背中のこぶの上側が見えている。

ミラヤの方が身体は高い位置にあるはずだが、これではゲネオスがミラヤを見下ろす形だ。

ハッとして辺りを見回すと、砂でできた斜面に見えたその一帯は、実際には直径30メートルほどのすり鉢状になっていた。

その斜面をミラヤがずり落ちていく。

もうミラヤが首を伸ばしても届かず、徐々にゲネオスから離れていった。

ミラヤは脚をいてこちらに戻ってこようとし、華奢きゃしゃな身体の割りに幅広はばひろの足先で砂を踏んだ。

しかし踏んだそばから砂が崩れ、ズルズルと滑って上に登ることができない。

「おいゲネオス、何かあったのか?」

オレが日陰に寝っ転がりながら訊くと、ゲネオスは大きな声で返してきた。

「何かは分からないが何かある!」

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