第3章 港町プエルト

第17話 プエルトの街

「ようこそ!プエルトの街へ!」


一度ツギノ村に戻ってから戻ってきたので、海沿いの街に着く頃には日が落ちかけていた。

季節が逆との村長の説明どおり、この辺りはかなり暖かい。

ここは港町で、桟橋さんばしには大小の帆船が係留けいりゅうされているのが見えた。

船乗りも多い。街の人々もどことなく快活だった。


酒場(つまり今夜の宿)を求める道中、オレ達は歓楽街に足を踏み入れてしまった。

両サイドには酒場(ピュアな酒場)が軒を連ねており、プロの女性たちが、

「ソンチョーサン! ソンチョーサン!」

と声を掛けてくる。

「なぜソンチョーなんだ?」

あまりにも皆がそう言うので、オレは疑問を口にした。

「ツギノ村からの来る人が多いからじゃない?」

パマーダが答えた。

「それなら村人か旅人だろう? 村長は村を守らないといけないし」

「そういうものなのよ。村から来る人はみんなソンチョー」

そうこうしているうちに宿屋を営む店に着いた。


オレたちはチェックインを済ませると、ご当地メシを求めて1階の酒場に集った。

オレは早速メニューを開いた。しかしすぐにギブアップ。

メニューに書かれていることは読めるのだが、それが何を意味するのか分からなかった。故郷の料理とまるで違う。

結局、オーダーはパマーダに丸投げしてしまった。


「やっぱり海鮮料理かな」

パマーダは嬉々ききとしてウェイターに注文を伝えている。

「あのウェイター新入りかしら?」

オーダーを終えて、パマーダがコメントした。

「なんで?」

「すごくぎこちなかったし、オーダーが終わるとホッとしたように厨房ちゅうぼうに帰っていったわ」

しかし待てども待てども注文した料理が出てこない。

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