第17話残酷な不妊手術
「課長!態々来て下さったのですか?申し訳有りません」
「これを使いなさいと桂木常務に預かってきたのよ、常務も貴女の身体の事を心配されてお見舞いを下さったのよ」
封筒を手渡すと「そんなに気を使って頂いて申し訳有りません」涙が出て来る聡子。
待合室で涙の聡子を看護師が不思議そうに見ていた。
しばらくして手術室に消えると、籠谷課長は「今手術室に入りました、大丈夫です!ご安心を!」桂木常務に連絡して点数を稼ぐ。
手術室では手術着に着替えて、手術台に上がる様に看護師に言われて、元気なく手術台に横たわる聡子。
「全身麻酔をしますので、目が覚めたら総てが終わっていますよ」
腕に麻酔薬の注射が始まると、涙が頬を伝わる聡子。
「数を数えて下さい」看護師が注射をしながら言う。
「一、二、三、、、四、、、、、五、、、、ろ、、、」聡子の意識が遠のくと手術台が上昇。
「始めます」釜江医師が言って、手術が始まった。
二時間程度経過して、待合室に釜江医師が出て来て「完全に終りました、もう妊娠する事は有りません、子供の処理も完璧です、一週間程度で普通の生活に戻れるでしょう」
「生理とかに影響は有りますか?」
「大丈夫ですよ、本人は全く判らないと思います」釜江医師の言葉に笑顔に成って、御礼のお金を差し出す籠谷課長。
この様子を見ている看護師、瀬戸頼子はお金に成る事ではと思っていた。
三月の末に成ると桂木常務は久々に聡子を抱いて、以前以上に感度が良く成って良い女に成ったと上機嫌だった。
その後は聡子を酔わせて、ゴムの着用をしないでSEXをする事も度々で、桂木常務は大いに満足をした。
聡子も自分が堕胎手術の時に、十万もの大金を出してくれたので、以前よりは桂木常務に親しみを感じる様に成っていた。
それと同時に毎月の様に抱かれて、桂木常務の熟練の技に身体が順応してきた事も大きい。
籠谷課長は四月の人事異動で約束通り大阪本社の総務部次長に栄転して、後任には山口碧課長が着任した。
だが聡子の気持ちは後一年で戻って来る晴之との結婚に希望を持っていたのだ。
八月に成って聡子は旅行の時、桂木常務の機嫌の良い時を見計らって「来年から部署を変更して貰えないでしょうか?」と切り出した。
すると急に不機嫌に成って「彼氏に抱かれて、恋しく成ったのか?」と嫉妬を剥き出しにした。
正月以来晴之が戻ってきて、一泊二日で温泉旅行に行って、しばらくしてから告げたのでその様に言われたのだ。
「彼が戻れば、私達六月に結婚する事を話会ったのです、今の様な関係は今後絶対に無理ですので、配置転換をお願いします」頼む様に言った。
「判った、考えて置くよ」そう言うと再び聡子の身体を求めて来る桂木常務。
先月言い出そうとしたが、機嫌が悪く言出せなかった。
話しが戻って
「加山かつみって書いて有ったのね」美優が意外な情報に驚きの表情で尋ねた。
「桂木常務はその初島にかつみと云う女性と加山と名乗って一緒に行ったが、とても娘には見えなかったと叔母さんは話したよ!俺が間抜けな名探偵の亭主だと言われたよ!」
「それで機嫌が悪いのね!でもそれ正しいでしょう?」そう言って笑う美優。
「東京の銀座で聞き込みをしなければ、桂木常務の実体が掴めないわね!この紙に書いた一番と二番を調べれば何か発見出来るかも!」そう言って紙を出した。
①東南物産常務桂木、性格は女好き、インテリの女性が特に好きで風俗にもよく行く。
品川の風俗に馴染みの店が在り通っていた様子。
②銀座の和風クラブ夕月の常連で、何か新しい発見が有るかも知れない。
「銀座では流石に偽名は使っていないけれど、他の店とか風俗で加山と名乗っているかも知れないわ」
「警視庁に仁義を切って、聞き込みに行くか!」
「それが早道かもね」
翌日一平は美優の言葉通り横溝捜査一課長に進言した。
横溝捜査一課長は警視庁に断りを入れて、聞き込みに行く事を躊躇ったが、事件発覚後既に二ヶ月が過ぎて焦りも手伝い渋々認めた。
木南の自宅から持ち帰った物から事件に繋がる様な物は全く見つからず、木南が誰を強請ったのかも特定出来なかった。
唯一の場違いな物は初島のチラシ一枚だったのだ。
住まいが荒らされていたのは、犯人が録音された物を捜したのは間違い無いが、その捜し物が見つかったのかは判らないのだ。
数日後、伊藤、一平、小寺、白石の四人が東京に聞き込みに向かった。
品川近辺の風俗店を徹底的に調べる事に成ったが、その数が膨大で中々見つからない。
殆どの風俗店は客の携帯で登録しているので、桂木常務が使っていた番号で店を次々調べるが一軒もヒットしない。
午後からの店が多く、夜の十時まで調べた四人はホテルに十一時に戻って成果を話会ったが、一軒も無く加山では登録されていても逆では検索出来ないと断られただけだった。
「明日も期待薄だな」一平がぼやく様に言った時、美優が電話で「もしかしたら、桂木常務はプライベートの携帯を持っていたのかも知れないわよ」と話した。
「そうか、大会社の重役が遊ぶのに、自分の携帯を使わないな!明日会社に尋ねて見るよ」
翌日朝、東南物産に電話をすると迷惑そうに秘書課に電話が廻されて、先日会った山口課長が応対をした。
「私は、桂木常務とは半年程のお付き合いと云いますか部下でしたので、よく存じませんが前任者の課長か秘書をしていた小塚か、もう一人居ました秘書なら知っているかもしれませんね」
「今、小塚さんは?専務と海外に行っています」
「前任者の課長さんは今どちらに?」
「。。。。。。。。。。。」沈黙が有って「亡く成られています」と話した。
「もう少し詳しく聞きたいので、今から行きます」一平の声が裏返った。
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