蛇使いと鏡の子

めらんざーな

序章

蛇の神様と混血児

 月明かりに照らされたそれらは赤黒い液を被って転がっている。 それらの指には同じ指輪が嵌められており、その二つの死体が夫婦であることがうかがえる。


 その傍に倒れている幼い白髪の子供のすぐ側で鼻をすすっていた少女が顔を上げた。


 透き通るような肌に映える黒髪、頬には乾きかかった涙の跡。


 紫色の瞳が放つ視線の先には不気味な仮面をした者たちが驚いた様子で立ち尽くしている。


「……生きるために人生を捨てる覚悟はあるか?」


 少女の足元に這う蛇はまるで人間のようにそう言葉を発した。


「……私は生き延びたい!」


 少女は真っ直ぐな眼差しで蛇にそう伝えた。 その強い意志を認めるかのように蛇は少女の足元にどぐろを巻く。


「……取引は成立しました。 私たちはたった今から、人類最初のブレンドメターです」


 蛇がそう言った瞬間に少女の瞳は翡翠色に染まった。



 ──それから時は過ぎ、1838年に突入した。


 日本は江戸時代の後期──天保の頃、とある城があった……

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