第20話 クリスマス休暇と再びのマキシ?

 冬学期が始まりいよいよ、授業は実務実習に向けたものになってきた。そして、成績も発表され、成績は、去年よりだいぶ良い、騎士能力まで。これって、封印のピアスの力が弱まっているんじゃないの?。



 ハインリヒに見て貰うと、封印は正常らしい。僕の力が純粋に強くなったようだ。そして、



「それに」


「なんだ?」


「いえ、何でもありません。今度のクリスマス休暇で、話します」





 そして、クリスマス休暇直前、チーム分けが発表になった。僕は、ロゼリアさん、そして、メイリン=ビューティーさん、そして、先生は、アランチェス先生。ロゼリアさんは知っている。剣術大会で僕を破った強い女の子だ。メイリンさんは知らないな。



 ドラグ達もそれぞれ決まった。



「マックスは、怖そうな女の子となったな」


「ロゼリアさん? 確かに気が強そう。ドラグは?」


「ヨシュア君は、結構気が良い人らしい。魔術師の人は知らないけど」


「魔術師と言えば、僕は、天才ハインリヒ君とだよ」


「ハインリヒは、良いやつだよ。僕の友達だって言えば、ちゃんとしてくれるから」


「えっ、また家臣?」


「うん」


「僕はもう1人の家臣と一緒だし」


「ピノは、ランドールとチーム?」


「そうかな」



 なんか都合良く知り合いで、固まったようだ。







 クリスマス休暇前最後の部活が終わる。寮に向かって歩いていると、リリアちゃんが追いついてきた。



「マックス先輩、クリスマス休暇はどうするんですか?」


「ああ、家族が集まって大公屋敷で、パーティーするんだ。リリアちゃんは?」


「わたし達は、リコリスも来てクリスマスパーティーやるんです。で、先輩もパーティーに、お誘いしようかと」


「ごめんね。さすがに、家族が集まるから、行かないわけにはいかないよ。そうだ、夏休みは、大公屋敷に遊びに来てよ」


「えっ、良いんですか?」


「もちろん」


「では、楽しみにしています。気をつけて帰ってくださいね」








 僕達は大公屋敷に向かって、帝都から、列車に乗る。6時間程で、大公領シャーリンへ、到着する。



「マックス様」


「うん?」


 外をぼんやり眺めていた僕にランドールが声をかける。


「ピノワールと言う方、ご存知ですか?」


「あ、ピノね。知ってるよ。友達だし。そう言えば、実務実習一緒のチームか」


「はい。それでどういう方ですか?」


「うん、裏表のない良いやつだよ。ただし、頭は良いけど、弱いから注意してあげて」


「はい、畏まりました」


「うん、よろしく。そう言えば、ハインリヒは、ジョイと一緒か?」


「ジョイ? ジョレンテと言う人ですかね」


「そう、ジョイは身体能力高いけど、騎士の能力低いからね」


「わかりました。騎士能力低いは援護しにくいですが、ちょっと考えておきます。ランドールで、試した物もありますので」


「ジョイは、改造しないでね。で、ランドールに試した物って、何?」


「魔導鎧とでも呼ぶのでしょうか? 人体を改造するのではなく、魔導技術を転用して、鎧に付与して、それを着ると、パワーアップするという感じですね。ただ、ランドールのように極めて騎士能力が高くないと、動かすことすらできません」


「なんか、凄そうだね。でも、ジョイは騎士能力低いよ」


「はいなので、僕が魔力をこめた、武器を使って貰うんです。魔力のある間は、普段より高い攻撃力を得る」


「なるほど、それはジョイ向きか。ジョイだと、魔導槍ってことか?」


「槍ですね。早速作成していきます」






 レオポルドの出迎えを受け、屋敷に帰る。お祖父様とお祖母様に挨拶する。そして、そう言えば、リグルド達は、帝都か。お父様、お母様と一緒に来るそうだ。先に来れば良いのに。律儀な。と言うわけで、ハインリヒの研究を覗きに行ったのだが……。





 今、僕達は、大公屋敷の外、広大な草原にいる。一応訓練場だ。




「で、実験って?」


「はい、僕が作った魔導鎧を試したいのです」


「わかった、僕じゃなくて、マキシだね。でも、大丈夫かな」


「大丈夫です。そのために、私がいるのですから」


「わかった。何かあったら、よろしく」



 僕は、封印のピアスを外す。すると、凄まじい力が全身を駆け巡るのを感じる。僕は目を開ける。



「さあ、始めようか」


「やっぱり」


「ハインリヒ、何がやっぱりなんだ?」


「今はマックス様ですか? マキシ様ですか?」


「いや、それはマキシって、あれ?」


「封印のピアスには、人格を作る能力とかはありません。凄まじい純血の騎士の力を抑えて、ちょっとの魔力を付与しているだけです」


「で?」


「マックス様は、純血の騎士の凄まじい力に取り込まれ、殺戮衝動に囚われ暴走していたのです」


「うん。それで?」


「で、マックス様は、心のバランスを保つ為に、殺戮衝動を持つのはマキシ様、疑似人格はマックス様となったのです」


「ふーん」


「ですが、友達と付き合い、部活に入り活動して、リリア様とも交流して、成長され、マキシ様を認めてきたマックス様は、マキシ様でもあり、マックス様でもある風になってきたのです」


「学校入って成長した?」


「はい、まあ成長と言うと失礼だと思いますが、かつては、ご家族としか、心の交流されてませんでしたが、今は違います」



 そうか、成長というか、普通にとりあえずなったということだろう。だけど、暴走する可能性はある、力に溺れることなく、自分の力としていこうな。これからもよろしくマキシ。


「ああ、任せておけ」


 頭にマキシの声が響く。





「で、実験は、どうするんだ?」


「はい、マキシ様。って、えーと」


「マキシで、良いよ」


「はい、マキシ様、では、ランドールを呼びますね。ランドール!」


 すると、ランドール? が歩いてきた。大柄のランドールの体をすっぽりと覆う、全身鎧。目だけが、見え体中の色々な部分がピカピカ光っている。



「ランドールか?」


「はい、マキシ様」


「では、マキシ様ランドールと本気で、戦ってみて下さい」


「わかった」





 僕とランドールを、距離をとって練習用の模擬刀を構える。そして、



 凄まじいスピードで、ランドールが飛んでくる。は、速い。僕は、慌てて後ろに飛ぶ、それをランドールが追撃してくる。そして、打ち合う。受け流しつつ、反撃をここらみるつもりが、威力だけで、後方へ飛ばされる。とんでもない、パワーだ。だったら、



「陽炎乱舞!」



 僕は、分身攻撃を仕掛ける。さすがに単純なスピードでは、僕の方が上らしい。そして、そのまま、四方八方から迫る。そして、ランドールが、剣を振るう。周囲に凄まじい風圧の壁が出来、攻撃が防がれる。



 僕は、再び距離をとる。ハインリヒ天才だな。凄まじい鎧だ。僕並みのスピード、そして、僕以上のパワー。ランドール自身もかなり強いが。魔導鎧恐るべし。よし、




 僕は、大きく足を前後に開いてしゃがみこむ。そして、



「錬身流奥義白虎!」



 僕は、全力で前に飛び出した。ん?。ランドールが棒立ちになっている。僕は、慌てて、ランドールから剣を反らし地面に剣先を向ける。



「ドーーン!」



 音と砂煙が立ち上がり、5m程の深さの穴が開く。そして、穴の斜面を逆さまにランドールが、滑ってくる。



「ランドール大丈夫か!」


 僕は、慌ててランドールに駆け寄る。そして、ハインリヒも、舞い降りてくる。


「凄まじい威力ですね。神剣じゃないのに。直撃したらランドール死んじゃいますよ」


「それより、ランドールは大丈夫なのか?」


 ハインリヒは近づくと、何やら操作する。すると、鎧が外れ、白眼を向いたランドールの顔が見えた。


「大丈夫です。魔力が尽きて、気を失っただけです。活動時間約1分か、まだまだ改良しないとな」



 御愁傷様です。ランドール。

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