エピローグ 染まる予感
ドアを開けると、夜風が前髪を揺らす。生暖かい空気であることは間違いないが──
「夜も多少は涼しくなってきた……か?」
「本当に、少しだけ、ですけどね」
苦笑しつつ、雨空がくるり、と振り返った。
「では、おやすみなさい。先輩」
「おう、おやすみ」
その言葉を聞いて、雨空はまたも反転し、アパートの階段を降りる。
隣のマンションのエントランスへと入っていくのを見届ける。
もう一度吹いた夜風は、ほんの少しだけ、さっきよりも冷たく感じた。
夏の終わりがはじまるのを感じながら、俺はドアノブに手をかけ、部屋へと戻った。
あと数日で、夏休みが終わる。その先にあるのは、大学生の本来の日常だ。
その日常が、また少し、どこかの後輩の色に染まる予感がした。
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