第6話 警戒心のないことで

それから1時間後。


「終わ、ったぁ……」


句読点に接続詞、言葉選びと持てる技術を総動員し、俺は無事、規定の文字数のレポートを書き終えていた。


時刻は18時を回ったところ。


果てしない疲労感が、眠気となって襲いかかる。ただ、それと同じ、いやそれより強い空腹が俺を襲っていた。

麺類は、消化が早いのか、やたら腹が減るまでの間隔が短いのだ。


「腹減った……」


なにかあっただろうか、と冷蔵庫を開け、中を見る。しかし、調理なしで食べられるものは無さそうだ。

仕方なくインスタントでも、と思ったものの、雨空の言葉を思い出し、やめておくことにした。


「起こす……のは、なんか、あれだな」


ベッドで眠る雨空を起こそうとしたものの、俺は結局、そのままにしておくことにした。


あまりにも、気持ちよさそうに眠っているので、起こすのに罪悪感があるのだ。


空腹を誤魔化すために、水を2杯飲み、


「……まったく、警戒心のない、というか無防備というか、なんというか……」


そう呟いて、俺は床で眠ることにした。

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