プロローグ

 結局、どんなに前置きを置いたとしても出した結論何て『延長』の一言に過ぎなかったんだ。

 二人が好きで、大好きで……どちらも隣に立ってほしくて、どっちも束縛をしてしまうような答え。


 自分でも言うのはなんだが……男としては情けないような答えだったとは思う。

 柊にしても神無月にしても、納得してくれたとはいえ不平も不満もあるはずだ。


 でも、それでいいと、大丈夫だからと言ってくれた。

 今の俺は……それに甘んじてるんだと思う。


 だからという訳ではない。

 別に理由をくっつけるわけでもない。


 でも、やっぱり――――このままではいけないと思ったんだ。


 二人を好きということは変わりない。

 それぞれが、それぞれの魅力を俺に与えてくれた。


 柊は、俺の心を優しく包み込んでくれて。

 神無月は、俺が前に進めるきっかけをくれた。


 選べって言われて選べなかった。

 好きという感情は、どうしても片方に傾くことができず二等分されてしまったんだ。

 どっちも好きで、片方の感情を切り捨てることができない。


 だけど……もし、もう一度チャンスをもらえるのなら――――


「俺は、もう一度答えを出したい」


 どっちつかずではなく、どっちかを選んで。

 保留にするのではなく、けじめをつけて。


 それまで待っててくれるのであれば――――俺は今度こそ、二人の気持ちに答えたい。どっちかを納得のした上で選びたい。


 でも、多分……俺が答えを出せば、どっちかが傷ついてしまうかもしれない。

 俺を好きになってくれている間は……片方を選んでしまえば片方を切り捨ててしまうことになるから。


 けど、それだと前には進めない。


 俺も。

 柊も。

 神無月も。


 俺が答えを出さない限り、誰も前へと進めないんだ。

 これから、誰かが人生というレールを歩いていくうえで、添い遂げるパートナーを選べないまま。

 誰もが誰も選べまいまま止まってしまう。


 多分、そんな結末にしちゃいけない。

 どんな物語でも、結末はしっかりと作らなきゃいけない。


 登場人物が、満足のいくような、納得のできるような結末を……迎えなければいけない。



 だから、俺は—――――



 初恋をして。

 一人の少女と出会って。

 恋をして。



「……如月さん」


「……如月くん」



 恋を決める。


 全ては、初恋から始まった恋に決着をつけるために。


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ※作者からのコメント


 お久しぶりです!

 完結したのに…という形ですが、心機一転で更新を再開いたします!

 できれば毎日……で投稿したいのですが、おそらくリアルの都合で一週間で一話になりそうです💦


 頑張って土曜日のこの時間には投稿できるようにいたします!

 今回はプロローグということで……文字数は少ないですが、次からは本編開始です!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る