協力者、女子高生神無月沙耶香!
「……それで、急に私を呼んだって事かな?」
お料理教室が終わり、少し時間が経った夕刻。
現在、我が家には新たに一人の女の子が増えていた。
「すまないな、急に呼び出しちゃってさ」
「ううん、気にしないで!如月くんに頼られるのは嬉しいからね!」
急な呼び出しにも関わらず、神無月は構わないと言ってくれる。
な、なんていい子なんだ……こんないい子が俺の事好きだなんてーーーー本当に夢のようです。
それと同時に、かなりの罪悪感を感じてしまう。
「事情は分かったけど……」
「何かいい案はありませんか……?」
あれから柊と俺とが考えていたのだが、結局いい案は思いつかなかった。
だから、こうして他の案を出してくれないであろう人材を招集。
三人寄れば文殊の知恵って感じだ。
「でも、どうして私なの……?」
「恥ずかしながら、私はお付き合いした経験がなくて……」
「柊に同じく」
そう、俺達は残念な事にお付き合いした経験がなかった。
俺に関しては神無月をずっと追いかけてたわけだし、柊はモテているのだが今まで好きな人がいなかった。
という訳で、俺達は片道切符な恋しかしていないので、恋人同士に関してのご相談というか、気持ちがいまいち理解できないのだ。
まぁ、昔はかなりの力技で解決したんだけど……今回は、出来れば早急に平和的に解決したい。
まぁ、最終的に上手くいかなかったら力技で行くつもりではある。
ごめんなさい。
という訳で、その平和的解決の為に、恋愛経験豊富そうな神無月を呼ぶに至ったのだ。
「た、確かに私は付き合った経験はあるけどーーーー」
俺達の期待の眼差しを受けた神無月は口を開き、そしてーーーー
「ーーーー私、その子にフラれていじめられたんだけどね……」
ーーーー一瞬にして陰ってしまった。
「す、すまん!別に神無月のトラウマを刺激したかった訳じゃなくてだな!」
「ご、ごめんなさい神無月さん!本当にごめんなさい!」
神無月のトラウマを呼び出してしまった俺たちは必死に頭を下げる。
そ、そう言えばそう言う話があったっけ!?
いや、別に恋愛経験豊富そうだったからアドバイスを貰おうと思っただけで、本気で呼び起こすつもりはなかったんだ!
「大丈夫大丈夫。ちゃんと分かってるから、そんなに謝らないで。私の中ではもう解決した話だし」
((……ホッ))
笑みを作り、気にしないでと言ってくれた神無月に、俺達は安堵した。
よ、よかったわ……流石に、ここの部分はデリケート過ぎるし、傷つかせてしまったら本当に申し訳ない。
女の子を傷つけるのは人として最悪だからな……。
「それにーーーー」
すると、神無月は一つ間を開けるとイタズラな笑みを浮かべて、座る俺の腕に抱きついてきた。
「なッ!?」
「これからは如月くんが教えてくれるんだよね〜?」
いきなりの柔らかい感触に思わず変な声が出てしまう。
「何やってるんですか神無月さん!?」
柊も、突然の神無月の行動に驚いてしまう。
「いいじゃん!どうせ、柊さんだって如月くんとこんなことしてたんでしょ?」
「うっ!」
否定ができない……。
確かに、さっきまでそんなことしてたからなぁ……。
「話を戻すけど、私も2人にお世話になっちゃったからその相談お手伝いさせて! 私、結構友達から喧嘩しちゃった時の相談とか乗ってたから結構役に立てると思うよ!」
なんと頼もしくて嬉しい発言なんだろうか?
だけどーーーー
「(なぁ……俺、一度も相談されたことないんだが? 加えて言えば、神無月ってかなりのコミュ力すごくね?)」
「(えぇ……私も受けたことありません。加えて言えば、そんな事を言ってくれるお友達がいませんでしたから……)」
何故かコミュニケーションの差を見せつけられたような気がした俺達。
神無月って、言い方悪いけど俺達とは違って『これぞ高校生!』って感じだもんなぁ……。
「俺達……普通の高校生活、送るべきかもな……」
「そうですね……送るべきかもしれませんね……」
「ちょっと待って。2人とも、普通の高校生だよね!?」
いやぁ……俺達って、普通とは違う生活してたから……。
基本、颯太と藤堂以外とは話さなかったし、柊も休み中とか夕方とか基本的俺の家にいたし、交流云々、最近の若い子が何をするか分からないんだよねぇ……。
「まぁ、俺たちのことは置いておいて、とりあえず解決策でも考えようや」
「そうですね、頼もしい神無月さんも加わりましたし」
「嬉しいけど、複雑な気分なのはなんでだろう……?」
という訳で、俺達は颯太カップルの喧嘩問題を解決するべく、再び会議に入るのであった。
ちなみに、夜ご飯を食べていないという神無月には夜飯を振舞った。
「美味しい!」って喜んでもらった時は、柊に言われた時ぐらい嬉しかった。
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