番外編~同作者キャラは同じように制裁を食らう~

 ーーーーというやりとりがあり、現在俺と時森先輩は脱兎のごとく逃走中。

 校内を逃げ回り、やっとの思いで食堂の中へと逃げ込む事が出来た。


「はぁ……はぁ……こ、ここなら大丈夫でしょう……」


「あぁ、ここまで来れば……後はーーーー」


『『『死に晒せやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!』』』


「ーーーーこいつらを撒くだけだ」


「……そうっすね」


 息を整えていると、追ってきた連中が到着する。

 しかし、先に入っていた俺達は机を薙ぎ倒し、窓際まで逃げ込んでいるため、冷静に対応することが出来れば、こいつらを撒くことは可能だろう。


『さぁ……逝く準備は出来てるだろうなぁ……?』


『金髪のあの子だけでは飽き足らず、銀髪の子や茶髪お姉さんともイチャイチャしやがって……』


『聖女様は我々のもの……それを独り占めにしたタブー……万死に値する』


 人は嫉妬だけでここまで恐ろしくなれるものなのか?

 今の鈍器を持った彼らを目の当たりして、俺は武者震いが治まりそうにない。


「……さて、後輩。こっからはどうする?ーーーー俺的には囲うように奴らが近づいて来てるから、窓から飛び降りるという選択肢をおすすめする」


「確かにそうですね……」


 見事な連携故か、障害物を避け、俺達を逃がさまいと囲うように距離を詰めてきている連中からは逃げれる隙が見当たらない。

 だから、ここは引き付けるだけ引き付けて、窓から逃げるのが1番だろう。


「分かりました。では連中を引き付けて、一気に窓からーーーー」


「……ん?どうした後輩?」


 言葉の最中、俺は思わず固まってしまう。


 連中から逃げるため、俺はこれから行くだろう退路を確認するため、窓の下を覗き込んだ。

 するとーーーー


『『『いらっしゃぁ〜い』』』


「……いえ、なんでもありません」


「そ、そうか……」


 俺は先輩に何も無いと、誤魔化した。

 だって仕方ないじゃないか。

 下には俺らを今か今かと待ち構えている気持ち悪い笑みを浮かべた連中の半分がそこにいたのだから。


 ……どうすっぺ?

 ぶっちゃけ、このまま飛び降りても『死』。このまま二人で立ち向かっても『死』。

 八方塞がり、退路なし。


 ーーーー仕方ない。


 使いたくはなかったが、ここは例の作戦でいくしかないようだ。


「……先輩」


「なんだ後輩?」


「……下には、連中の半分が待ち構えています。このまま飛び降りれば、確実に殺られます」


「……マジで?」


「……マジです」


 先輩は俺の言葉に目を疑ったのか、恐る恐る下を覗き込んだ。

 そして、いて欲しくない物体がいたのか、前を向いた時の先輩は武者震いをする。


「……先輩、俺にいい考えがあります」


「流石だ後輩。俺はお前を信じていた」


 なんと信頼感の強い先輩なんだろうか?

 是非とも、その期待に答えなければ。


「先輩は合図で右側から逃げてください、俺がその間連中の注意を引いておきます」


「し、しかし……それでは後輩が……!?」


「元はと言えば、うちの学校の連中の所為でこんな目に合うんです……気にしないでください」


「こ、後輩……」


 俺のセリフに、先輩は目尻に涙を溜める。

 そして、何かを決意した表情をし、前を向いた。


「……後輩の勇姿、しっかりとあの金髪の女の子に伝えよう」


「えぇ……話盛り盛りでお願いします」


 そして、俺も覚悟を決め、前を向く。

 そう、覚悟しなければならない。この状況から生き残るために、俺は悲しみを抱きつつも前に進まなくてはいけない。


「先輩、3カウントでいきましょう……」


「あぁ……」


『『『殺っちゃるで〜!!!』』』


 俺に必要な覚悟。


「3……2……1」


「Go!」


 それはーーーー


「先輩はあの金髪の生徒会長と付き合っているぞーーーーー!!!」


『『『なぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁにぃぃぃぃぃぃぃっ!?』』』


「謀ったな貴様ァァァァァァァァァァァァァァァッ!?」


 先輩を切り捨てる覚悟だ。


 先輩が右側に走り出した途端、俺は大きな声で連中に向かって叫ぶ。

 すると、連中の意識は先輩に向き、必然的に制裁対象も先輩だけになった。


「後輩お前っ!?裏切りやがったなこの野郎っ!?」


「元はと言えば、先輩が目の前でイチャイチャするからでしょうが!」


 俺はその隙に左側から勢いよく逃げる。


 本当に、先輩達が変に焚き付けなかったら、柊があんな行動することもなかったんだ!

 だから、巻き込まれた俺の囮になるのは当然の役割!

 さぁ、俺の為に死に行くのだ!


「しかも、どうして俺が柊夜と付き合っていることをお前が知っている!?」


「先輩の作品を読んだからに決まっているでしょう!」


「ふ、ふざけるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!……お、おいっ!やめーーーー」


 バカボスゴキペキ!


 そんな悲惨な打撃音が反対側から聞こえてくる。

 それっきり、先輩の俺に対する叫びが聞こえてくることは無かった。


 ……ご愁傷様です。

 先輩の命、無駄にしません!必ず生き残ってみせます!


 俺は先輩の生き残るという意志を胸に抱き、一気に食堂から脱出する。


「あ、如月くん!」


 食堂から飛び出そうとした瞬間、目の前に我が学校の女神ーーーー神無月がいた。


「すまない神無月!ちょっとそこをどいてくれ!」


 退路を塞いでいる神無月に退くようにお願いする。

 連中の注意はいつまでも引き付けていられる訳にはいかない!

 だから一刻も早くここから逃げないといけないんだ!


「ごめんね、如月くん。なんか他校の生徒会長からお願いされちゃってーーーー」


 神無月は俺の発言を無視しているのか、退く気配がない。

 仕方ない、ここは神無月が怪我しないように、通り抜けるしかーーーー


「私の彼氏をあまりいじめないで頂けますか?」


「か、関節が曲がっちゃいけない方向に曲がってぇぇぇぇぇぇぇっ!?」


 な、何が起こったの!?


 俺は勢いよく神無月の横を通り過ぎたはずなのに、気がつけば関節があらぬ方向に曲がっているんですけど!?

 超痛い!?っていうか生徒会長!マジで離してお願いします!


「如月さん……先輩を囮にするのはどうかと思いますよ?」


 俺が関節の痛みに悶えていると、柊が俺の顔を覗き込んでそんな事を言ってくる。

 いや!?お前の所為でこうなったんだからな!?


 というか、見ていたんなら助けろこの野郎っ!?


「如月くん、とりあえず……ごめんね?」


 すると、神無月は本当に申し訳なさそうに、抵抗できない俺の手に手錠をつけーーーーえ?手錠?


「西条院さんにお願いされちゃったら、ちょっと逆らえないから……」


「ふふっ、私の彼氏を陥れた罰です。ちゃんと同じ目に合ってくださいね♪」


「如月さん、今日も一緒に帰りましょうね」


 そう言い残し、彼女達は食堂から去っていった。

 いや、去るのはいいんだけど……この手錠外してくれない?

 柱と絡み合っているから、俺動けないんだけど?


 このままじゃーーーー


『先輩を囮にするなんて、教育のなってない後輩だな?』


『顔面と関節ーーーーどちらから壊して欲しい?』


『安心しろ、お前も先輩と同じ目に合わせてやるからさ』


 そう言って、いつの間にか俺を取り囲んでいた連中が食堂の端を指さす。

 そこには、見るも無惨な時森先輩の姿がーーーーおっふ。


「ま、待って!俺は別に悪いことはしてなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」










 その日、どうやら学校交流会は無事終わったみたいで、桜ヶ丘学園生徒会も、時森先輩の遺体と共に帰っていたそうな。

 そのことを、俺は保健室のベットで柊に聞かされました。




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 ※作者からのコメント


 ご愛読ありがとうございました!

 キャラが分かっていないと、分かりにくかったかもしれませんが、そんな人は、是非とも『俺だって〜』を読んでみてくだい!


 とりあえず、これでコラボ企画は終了!

 もしかしたら、またどこかでやるかも知れません!


 次回は、ようやく本編再開です!

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