なんでだろ?

(※神無月視点)


 夕日が沈みかかっている放課後。

 私は1人、自宅への帰路についていた。

 商店街を抜けて、閑静な住宅街はめっきり静まり返っている。


 少し、考え事があったので少し教室に残っていたので、周りには生徒の姿は一つもない。


「あぁ……なんなのかなぁ…」


 そして、今でも考え事は纏まらない。

 気持ちの整理がつかないような、どうしてあんなことしたのか、自分の行動が分からない。


 ……それは、今日の体育倉庫での事。


 私は、如月くんを待つために片付けを待っている振りをして、彼に近づいた。

 そして、そこで彼をからかってやろうと思っていたんだけどーーーーー


『邪魔?迷惑?大変?ーーーーーいつ俺がそんな事言った?あいつは倒れるくらいまで一生懸命走ったのに、邪魔だって?……巫山戯んなよ』


「あんな事言われるなんて、ね……」


 まさか、如月くんにそんな事を言われるとは思っていなかった。

 彼は、未だに私の事が好きで、きっと私に合わせるだろうなって思った。


 ……でも、違ったんだよね。


「あぁ……もう!イライラするっ!」


 まさか、如月くんがあんなに柊さんを庇って来るだなんて……っ!

 私の事が好きなんだったら、大人しく尻尾振ってれば良かったのに……っ!


 男の子なんて、みんなそうなんだから……。

 所詮外見でしか見ていなくて、少しイメージと違ったらすぐ捨てる。

 それで、愛想良く振舞ったら機嫌が良くなる。


 男なんて嫌い……っ!


 だから、私は逆に男の子達を捨ててやろうって思った。

 愛想良く振舞って、いらなくなったら捨てる。

 そんな事を、何度もやってきた。


 ーーーーーでも、いつからか私は男の子に好意を寄せられることに、気分がよくなるようになった。

 騙されてるなんて知らないで、私に好意を振り撒いている男の子を見て、「哀れだなー」って思う事が楽しくなり、気持ちよかった。


 だから、私は男の子に好かれるようにしてきた。

 努力なんていらない。私は元から人よりは整った顔を持っている。

 後は、愛想良く振り撒いていれば、男の子達が勝手に好意を寄せてくる。


 ……如月くんも、そのうちの一人だった。


 明確に好意を感じたのは、中学2年生の時。

 そして、ドン底に突き落としたのが中学3年生の時だった。


 彼が現れる瞬間を見計らって、「彼氏がいる」という話をする。

 そうすれば私の評価も下がらず、男の子を振る事ができるからだ。


 そして、案の定彼はドン底に突き落とされたような顔をしていた。

 私はその顔を見て、喜んだ。気持ちよかった。


 ……それは、今も変わらなかったはずなのに。

 今の男の子に飽きちゃったから、新しい玩具として彼を選んだはずなのにーーーーー


「どうして、ムキになっちゃったんだろ……?」


 分からない。

 彼に嫌われたところで、どうってこと無かったはずなのに……何故か私は言い返してしまった。


 愛想なんて捨てて、素の自分が出てしまった。


「悔しかった……からかなぁ…」


 中身なんて見るはずない。外見しか見ていない。

 そう思ってきたのに、如月くんに否定されちゃったからムキになったのだろうか?

 それともーーーーー


「如月くんだから……?」


 確かに、彼は今まで好意を寄せてきた男の子とは違った。

 かっこいい所を見せようとする表面の人間ではなく、一生懸命私に好かれようと努力をしてた男の子。


 彼から、何か違う想いを抱いたから、私はムキになったのだろうか?


「ううん……違う」


 私は頭の中に浮かび上がった考えを否定する。


 そうだ、男の子なんて外見でしか見てない。

 そして、自分のイメージと違ったら捨ててしまう、自己中でどうしようもない生き物。


 だから、彼だけが特別なんてーーーーーありえない。


「もう、こんな事を考えるのはやめよう!」


 どうせ、今日全て言っちゃったんだし!

 これで如月くんは私のことが嫌いになったはず!

 だから、これからは関わることなんてないよね!


 多分、如月くんは言いふらすような人間じゃないと思うし、周りの私に対する評価が変わることもない。


 ーーーーーでも、


「しばらくは、大人しくしていようかな……」


 何故か、今は男の子を弄ぶ気になれない。

 本当に何故か分からないけど、今はそういう気分になれないのだ。


 どちらかと言うとーーーーー


「……あーあ、どうしちゃったんだろ、私」


 分からない。

 自分が何したいのか、何を目指していたのか、何が楽しかったのか。


 今日のあの時から、分からなくなった。

 だから、しばらく休もう。

 もう、疲れた気がするから……。


「あ、こいつじゃねぇか、神無月沙耶香って女は?」


 私がそう思っていると、不意に後ろから男の子の声がした。


「お、そいつだよ。男を手玉にして遊んでたって女は」


 私はゆっくりと振り向く。

 そこには、制服を着ていない3人の男の子達の姿があった。


 見た事の無い顔。

 けど、私の事を知ってた。

 しかも『男を手玉にして遊んでた』って……。




「さてーーーーー誰からとは言えねぇが、ちょっとついてきてもらおうか?懲らしめて欲しいって頼まれたからな」





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※作者からのコメント


すみませんm(_ _)m

多分、思っていたような展開では無いかもしれません。


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