第152話 五悪
俺とブラックドッグのクロドと、人魚のルアはステキサの宿の食堂で話をしていたら、王国諜報部隊のジボーが現れたので、俺とジボーの出会いと俺がここに来た理由をジボーに説明して貰う事にした。
ジボーが俺との出会いを説明した後、トヨシモの調査内容も説明し始めた。
「トヨシモは、帝国内で活動する犯罪組織『五悪』の一人です。帝国のある貴族に雇われて、王国を内部から弱体化する為に動いていました」
いきなり核心に迫る物騒な事を言い出すジボー。
「ごあく?」
「五人の強力な幹部がいる組織です。トヨシモはその幹部の一人で『
「ふ~ん、他に3人の幹部がいるんだね」
「そうですね。他に『
「まあ、俺には帝国と王国の事は関係ありませんから、どうでも良いですけどね」
「まあまあ、そうでしょうね。その為トヨシモとアラクネは第三王子と剣姫アスカの殺害、蜘蛛の牙と黒の群盗を使って、王国にとって経済を牽引する迷宮都市の崩壊を狙ってた様ですが……」
「成る程、剣姫アスカに対する謀略は帝国の対王国の一環だったと言う事ですね」
「帝国の国をあげての事では無いようですよ。帝国内で王国との戦争を望む貴族達の計略でした」
「そうでしたか……」
だからと言って、特に思うところは無いなぁ。『帝国と王国で勝手に戦争をしてくれ』って感じだ。
帝国も王国も思い入れがある訳では無いので、戦争が始まりそうだったら、他の国に行くまでだ。
「我々は情報収集までが任務なので、この後は国に報告して監視に務めます。ユウマ様もトヨシモとアラクネには因縁がある様子ですので、お好きにどうぞ」
「そうですねぇ。アスカの件の背景は知りたいと思ってましたが、ジボーさんに聞けたし。トヨシモとは直接絡んで無いので、特に思うところは無いですねぇ。アラクネも今となってはどうでもいいので、俺達に手を出されないなら、もういいかなぁ。って思いますよ」
「成る程、じゃあユウマさんから接触する気はないと言う事ですね」
「まあ、そうですね」
「そうですかぁ。承知しました。じゃあ、今日のところはこれで失礼します」
ジボーは席を立つと頭を下げて、頭を上げる直前から空間が揺らぎだし、頭を上げ終わるころには消えていた。
「あわわわわわ、き、消えたぁ」
ルアが驚いているが、俺は空間把握でジボーが宿の食堂を出て行くのを把握しているので、ジボーの見えない後ろ姿を目で追っていた。
隣で伏せているクロドは一つ欠伸をして、目を閉じた。
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