第61話 その後のサキヨマ
街を歩くサキヨマ
トカツモとリマサノは回復魔法で回復しており、3人は普段着を着ていた。
「くそっ、『蜘蛛の牙』の野郎共、このままじゃ腹の虫が治まらん」
「サキヨマ様、しかし我々では、『蜘蛛の牙』を倒す事は出来ません」
「確かに、奴ら強かったよなぁ」
リマサノとトカツモは襲撃された際、歯が立たなかったので、弱気になっていた。
「まあ、それは俺も認める。騎士団の大人数で行くなら兎も角、3人ではどうしようも無い、拠点も分からんしな」
「ああ、拠点なら多分ユウマが知ってそうですよ。後2つ拠点があるとか、捕らえた奴らの倍以上の人数がいるとか、かなり詳しそうでした」
リマサノが昨日ユウマに言われた事を2人に話す。
「サキヨマ様、奴は使えそうですね」
「うむ、俺もそう思ったよ。騎士団詰め所にしょっ引いて、『蜘蛛の牙』討伐に同行させよう」
「成る程、強そうな割には大人しそうだから、強引に連れて行けば、何とかなりそうですね。うっしっし」
「うんうん、それは良い。ユウマに『蜘蛛の牙』を制圧させて、また我々の手柄にしましょう。上手くいけば騎士団幹部に返り咲くかも知れません。うしし」
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その頃、ユウマは冒険者ギルドにて、リュウセイから、調査結果の報告を受けていた。
「領主リミツナ伯爵はシミツコ商会の件について、政治的な決着を着けた」
「政治的決着?」
「表面化はせず、裏で何らかの取引を行って、矛を収めたという事さ」
「え!俺が領主の召喚を邪魔されそうになったのは、どうでも良いけど、『蜘蛛の牙』を使った事は問題なんじゃないの?」
「うん、問題だね。しかし、シミツコ商会が完全に無くなると、それはそれで問題があるんだよ。それに表面上は『蜘蛛の牙』と決別した事になっている。裏では分からないけどね」
「ふ~ん。そもそも何で、俺がシミツコ商会に呼ばれたんだろう?」
「ユウマは、ダンジョン『魔獣の窟』の攻略者で、アイテムバッグに大量の黒き獣の肉を持ってるんだろう?」
「え! あぁ、肉はまだまだあるけど……、ん? あげないよ!」
「ははは、それを買取したかったらしいよ。そして、お抱えの冒険者として、貴重な素材の採取を遣らせるつもりだったみたいだ」
「成る程、そんなの即断るね」
「だろうね。今は『蜘蛛の牙』制圧の事実を掴んでいるので、ユウマにおいそれとは手は出さないだろう」
「シミツコ商会に関しては、こんなところかな。騎士団は『蜘蛛の牙』を逃がした事で、近々団長と副団長は降格し、寄り親のシヒデヨ侯爵領から替わりの団長が来るそうだ」
「え? こんな短期間でそこまで調べられるなんて、リュウセイさんって凄いよ。有難う」
「いやいや、情報網はいたるところにあるのさ。とは言っても1部は師匠からの情報だ」
「おやっさんかぁ。流石だねぇ」
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