2017年 冬⑦


………………


…………


……




 あたしの演説も終わって、二人で体育館を出た。

 達成感でいっぱいだったあたしたちは、パンと音を立ててハイタッチした。



「……まったく、原稿に書いていないことを言いはじめたから焦ったわよ」

「あはは。なんか急に違うこと言いたくなっちゃって」

「すっっっっっっごい、恥ずかしかったんだから……!」

「だって凛々姉のいいところ、みんなに知ってほしかったんだもん」

「だからって『部田とりたさんは孤独です!』はなくない!?」

「ちゃんとオチつけたでしょー?」

「もういいけど。ねえ、冒頭で『とある偉い人は言いました』って言ってたけど、どこの偉人の言葉を引用したの?」

「あれ? 俺」

「は?」

「俺の言葉だけど」

「はあ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!?!? ……ぷっ。あはははは!」



 二人で顔を見合わせて笑った。


 こいつは本当にチュンチュンぺらぺらと、適当なことが次から次に出てくるわ。

 でも……すごく照れくさくて、嬉しかったな。


 天気はいいけれど気温は寒いはずなのに、あたしの体温は上がっていて、このままずっと、陽気を感じていたい気分だった。






 あたしは、自分が思っていたよりもとてもとても、とても弱い人間だった。

 ううん、弱い人間になってしまった。

 孤独から救われたと、思ってしまったから。



 全部あんたのせいよ、チュン太。

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