第二十五章 第四回イベント 午前の部 (Part 1/1)

第277話 第四回イベント告知



 ゲーム大会が終わった。

 その頃には夜が更け、朝日が空に見える時間帯となっていた。

 窓から入ってくる朝の新鮮な空気を吸いながら、五人の男女はその若さを持て余している。


「ふぅ~、なんとか蓮見には勝てたわね」


「くそぉ~、今度は絶対に俺が勝ってやるからな」


「望む所よ」


 闘争心に燃える蓮見の視線の先には蓮見の次に罰ゲームを受けた美紀がいた。

 幼馴染というだけあってお互いの事はよく理解している。

 その為、見ててどこか羨ましいなと思う、エリカ達。


「ちょっと二人で盛り上がらない」


「そうよ、今日は私達もいるんだから」


「そうですよ、蓮見さん。今日は私達と一緒なんですからね」


「そ、そうだな。悪い、悪い……」


 後頭部を掻きむしりながら謝る蓮見。

 すると、ピコーンとスマートフォンの音が鳴った。

 それも四つ同時に。


「「「「あっ、なんか来た」」」」


 その言葉に蓮見が、


「えっ……なんで俺だけないの?」


 と、自分のスマートフォンの画面を見て呟いた。

 このタイミングで一人だけ何もない。

 考えたくなくてもやっぱり不安に思ってしまう。

 やはり実力不足の自分だけが実は裏でははぶられているのではないかと。

 そんな不安を一人胸の中に抱えながら、一番近くにいた美紀の元に行き話しかける。


「なぁ……一体なんだったんだ?」


「ちょ、画面見ないでよ」


 慌てて何かを隠す美紀。


「別にいいじゃん、見せてくれよ」


「ならちょっと待って」


 そう言って、慌てて指を動かし始めた美紀。


「なるほど、さてはえっちな写真が入ってるわね」


「ちょ!!! エリカ!!!」


「顔赤いってことは図星ね」


「ち、違うわよ!!! 別にいいじゃない、なんだって!」


「そ、それよりほらこれよ、これよ」


 頬を赤く染めた美紀はそのまま身体を蓮見に近づけてさっきまで自分達が見ていた物を見せる。


「これがさっきの四人の通知音の内容?」


「そうよ」


「ちなみに美紀がさっき隠したのは?」


 ドスッ


 重たい鉄拳が蓮見の溝に入った。

 お腹を抑えて一撃ダウンの蓮見の頭が床につき、うめき声が聞こえてくる。


「そこまで照れ隠しするんだ……美紀」


「可哀想……蓮見さん」


「さては、好きな人にアプローチする方法とかそう言った類のサイトを見ていたわね?」


「な、なんで知ってるの!?」


 ハッ!?


 全てを気付いた時には美紀の挙動が怪しくなる。

 勘の鋭いエリカを睨みつけるがもう遅い。

 目に涙を溜めても墓穴を掘ってしまったという事実はもう変えられない。

 そうなると、美紀としてはやる事はただ一つ。


「と、とにかく私の恋愛は置いといて、だ、だい、第四回イベントの対策会議を今から始めるわよ。いいわね、ギルド長?」


「…………ウォォォォ」


 聞こえるは痛みに苦しむ蓮見のうめき声。


「はすみぃ?」


「……は、はい。か、かまいません」


 最後は力づくのパワープレイで蓮見に何も言わせない美紀。

 だけど、対策会議を始める前。

 美紀は「ごめん……やり過ぎた……」としっかりと蓮見に謝り、そのまま蓮見に変わって司会進行を務める等、ギルドの為に頑張った。


『第四回イベントのご案内


 開催期間:一週間後の日曜日 ?月?日


 開催時間:午前の部→10時から12時 午後の部→13時から15時


 イベント受付期間:月曜日10時から金曜日21時まで


 イベント内容: レイド戦


 詳細:今回は個人戦によるレイド戦を用意した。各イベント参加プレイヤーは全力を出して、今回イベント限定で出現する大型モンスターや特殊モンスターを討伐して欲しい。与えたダメージ量において討伐時に戦闘参加プレイヤーにポイントを与える。今回は個人戦ではあるが、それとは別にギルド単位でもポイントを合計し加算していく。イベント終了時にポイントに応じた景品を個人、ギルドにそれぞれ進呈する。念の為に伝えておくが、午後の部からは出現モンスターが一気に少なりプレイヤーkillがありになる。プレイヤーkillをした者はその者が最後に持っていた三割のポイントを奪う事で更なるポイントを稼ぐことが出来るので、そちらにも各々力を入れてイベントを盛り上げて欲しい。



 更なる詳しい内容はイベント受付場所ギルドで直接確認して欲しい。



ps:参加される皆様気を付けてください。


 今回のイベントは午前の部は死んでも復活出来ますが、午後の部は死んだら負けの為準備は念入りにすると良いでしょう。

 アイテムの持ち込みも制限の物が多く、殆ど持ち込めません。

 また持ち込めても上限制限があり、アイテム依存のプレイヤーはこの機会に新しいスキルを手に入れる等して強くなられる事を私は願っております。

 そして力亡き者は午後の部の参加は控えられる事をお勧めします。


 午後は私(小百合)がEXキャラとして皆様に制裁を与えますので、どうぞご注意ください。私の眼は全てを見通し、矢は舞い、全てを灰にする。かもしれませんので』


 こうして【神眼の神災】対策と午後の部から出現する小百合の存在確定により多くのプレイヤー(午後の部参加予定プレイヤー)が火と爆発に対する耐性を手にするようになった。


 追い詰められ始めた蓮見に美紀はある提案を今回の作戦会議ですることにした。

 それがどうなるかは誰にもわからない。

 


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