第151話 美紀と七瀬の作戦会議
あれから蓮見と瑠香、七瀬は一旦美紀とエリカがいる拠点へと戻っていた。
「でも、まぁよく生き残ったと言うべきかしらね」
美紀は七瀬からの報告を聞いて、内心悔しさを隠し切れていない蓮見に視線をチラッと向けて言った。
「だけど、もう限界そう。私の奥の手も後一回だし、何より紅の使用制限スキルも結構ギリギリっぽいし」
「そうね……。そうそう奇跡なんて起きそうにないしね……」
事実もう殆ど綾香に対抗する手段がないわけではないが殆どない蓮見。
仮に綾香を倒したとしても、その時にはもう殆ど全ての使用制限スキルを使い切っている事は容易に想像がつく。蓮見の欠点である燃費の悪さは瞬間的な火力と比例している。使えば使う程弱っていくのだ。
そうなると、【雷撃の閃光】ギルドが攻めて来た時は美紀達が相手をしなければならないわけだが、なにせ向こうには本来ソフィを護衛する精鋭のギルドメンバー達もいると考えると正直手数の問題からかなり厳しいのだ。
とりあえず当初の目標通り上位にさえ入れればそれはそれで充分なのだが、それすら現状厳しいように見える。
現状蓮見の大活躍のおかげで大規模拠点等ポイント数の多い拠点は少ないが小規模拠点を多く保有しており、順位は十一位である。
これはイベント開始から五時間が経過した時に、運営が途中経過で教えてくれた最新の順位である。ただ周りのプレイヤー達は必要以上に今は【深紅の美】ギルドが保有する無人の拠点を攻撃しようとしないが、ラスト一時間を切ったりしたときにはどうなるか正直わからない。最後の悪あがきとして攻撃される可能性の方が高い様に見える。
「うぅ~ん。結局の所人数差が一番痛いわよね……」
「そうね……。私と七瀬で強引に周辺ギルドを潰しに行くとしても限界があるし……」
例え美紀と七瀬が片っ端から弱いギルドを殲滅させて言ったとしてもやはり残るは最後の大型ギルドと力を持つ中規模ギルドとなる。この二つのギルドは流石に美紀と七瀬のツートップでも落とす事は殆ど無理だろう。仮に出来たとしても一戦に全ての力を使う事は容易に想像が出来るわけで……。
「色々な意味で詰みだしたわね」
「そもそもこの人数でここまで戦えている事が不思議よね……」
「そうね……。本来であればこの人数で幾つか奪われたとは言え保有拠点が二十三ってあり得ないわよ。それで副ギルド長としてのこれからの判断は?」
七瀬の質問に美紀が色々と考える。
少し距離を空けて悔しそうに叫ぶ蓮見を瑠香とエリカが慰めている光景を見ながらある事を決断する。
「あまりしたくないけど、戦場をかき乱しましょう」
「それってつまり……」
「えぇ。私と七瀬まず綾香とソフィーがいるギルドを探し出す。そして【雷撃の閃光】ギルドに暴れて貰うって事よ」
「でもそれは……」
「そう。言い方を変えれば綾香の紅に対する敵対心を利用するだけ。失敗すれば当然紅の正確な位置がバレて全部アウト。ルナとエリカには紅の護衛についてもらうけど、その間他のギルド特に【灰燼の焔】がどう動くかがわからない。もしかしたら、復讐の為に総動員で攻めてくるかもしれない。そうなったらどちらにしろ私達が生き残る事は無理。だったら大型ギルド同士に暴れて貰うついでに護ってもらうしかないわ」
「つまり【雷撃の閃光】ギルドの人員をこちらに引き寄せて、他のギルドの侵入を防いでもらうってこと? だけどそんなの後三時間も出来ない。なにより、綾香をそんなに騙せない」
「だからよ。私達が戦局を誘導しながらまず綾香と戦う。そしてまず一度倒す。それから次に紅が倒す。そうすればかなりの時間を稼げる。後は上手い事紅を北にある拠点へと移動させれば上手く行けば逃げ切れるかもしれない。当然私達残りの四人で時間一杯ここを突破されないようにしないといけない。北は紅が移動途中にあちらこちらで目撃されれば多分小規模ギルド程度ならビビッて手を出してこないと思うのよね……」
美紀は七瀬に今考えた作戦の説明をする。
確かに美紀の言う事も一理あると考えるが、それはあくまで私達と蓮見に負け時とムキになって挑んでくる綾香を倒す事が前提である。
それに敵は綾香だけではないのだ。
かと言って幾つも考えられるパターン全てに対抗できる戦力等最初から【深紅の美】ギルドにはない。
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