第150話 精神的な苦痛


「あいつ逃げたんですか?」


「えぇ。まぁ両ギルド長生存って事でまたぶつかるかもしれないわね」


「なら次は倒します!」


「勝てるの?」


 七瀬は疑心暗鬼になりがら質問をする。

 一人では今ごろどうなっていたことやらと思わずにはいられなかった。もちろんそれ以外にもあるが。


「さぁ?」


「さぁ? ってあのね……。まぁいいわ。とりあえずこれで【灰燼の焔】ギルドはしばらくうちには攻撃してこないでしょうし、一旦戻るわよ。後警戒するのは【雷撃の閃光】ギルドぐらいかしらね」


「だね。【灰燼の焔】はリスクを嫌うだろうし、ギルド長の必殺スキルは紅さんによって破られた。となるともう攻めるとすると数に頼るしかないよね?」


「そうね。でもそれをすると他の拠点が手薄になるし、私達と違って大型拠点程ポイントも高い。幾つか私達が奪ったとは言えすぐには何もしてこないと思うわ。それで私達を潰してもその間に他のギルドに狙われたら元も子もないし」


「そうだね。でも紅さんまだ暴れたそうだよ?」


「……なら来た道とは違う道で帰る?」


「そうしよ! そっちの方がいいと思う」


 このせいで更に小規模、中規模ギルド合わせて四つのギルドと五個の拠点が犠牲となった。どこか消化不良の蓮見のエネルギーはまだまだ沢山あった。


 そのせいで被害を受け脱落が決定したギルドとしてはとんだとばっちりとしか言えない。


 道中山が燃え、毒の矢により木々が腐敗しと災いは何も火だけにとどまらない。


 途中から瑠香と七瀬が敵に同情していた事はもはや言うまでもない。


 そしてこの日噂は更に一人勝手に進化し始めた。



 屈辱的とは言え小規模ギルド相手に沢山の逃走用アイテムと魔法を使い、更には仲間を残して置く事で時間稼ぎまでしたリューク。事前に今の七瀬の本気がどの程度か知っていたリュークとスイレンは今森の中を走って本拠点に戻っている途中である。


 二人共HPゲージは攻撃を掠っただけでもゼロになりそうなぐらいに消耗しているが今はそれどころではない。あの【神眼の天災】はいつどこから何を仕掛けてくるかがわからない以上全力で走ってまずは距離を置く事を最優先としていた。

 リュークにとってもスイレンに取ってもリュークの必殺スキルそしてスイレンの必殺スキルが破られた事は事実以上に精神的にかなりきていた。


 だけど負けを受け入れられる二人の精神的な強さが今回の戦いにリベンジの機会を与えたとも言えるだろう。



 イベント開始から五時間と少しが経過し、戦局は再び大きく変わろうとしていた。

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