第54話 第二回イベント終了とスキル交換
――三分前。
最初は二人を甘く見て喧嘩を売ろうとしていた四組のパーティーだがすぐに戦意喪失になったのだ。
ある大男が呟く。
「おい、兄ちゃん。女とイチャイチャしてる暇はないぜ」
小柄なメガネの男が気付く。
「まっ、まて!」
「どうした? こんなイチャイチャ野郎共サッサと倒してポイント頂こうぜ?」
震える声で男が指をさして語る。
「あの……最高位クラスの【紅】シリーズを持っているのは【神眼の弓兵】しかいないんだ……。第一回イベント十七位にして第二位の里美と第三位の綾香がその実力を認めた人物だ。そしてその【神眼の弓兵】の隣にいるのは第一回イベント二位の里美だ……勝てるわけがない……」
「……嘘だろ。おい、逃げるぞ!」
二人の正体を知るとそそくさと逃げる二人で合った。
そしてそんな似たような光景が短時間で数回起きた。
この日を境に噂は更に加速を始めた。
『【神眼の弓兵】は里美と行動し更なる力を入れた。HPが減り逆境に追いこまれる程信じられない力を発揮し強くなる。今はKillヒットだけの【神眼の弓兵】ではない。故にむやみに手を出すな……』
『ある槍使いはとても可愛い容姿をしているが、安易に近づくことなかれ。なぜなら天災を手懐ける事に成功したのだから』
と、多くのプレイヤーがこのイベント終わりで口にするようになった。
そしてイベント専用マップ全体にアナウンスが流れ、第二回イベントが幕を閉じた。
気になる二人のポイントは、
蓮見 20132ポイント
美紀 22046ポイント
だった。小百合に与えたダメージがどうやら大きかったらしく約7000ポイントずつ貰っていたのだ。こうして二人は笑顔でイベントを終える事が出来た。
眩しい光に覆われると、二人は第二層の中心部にある噴水広場の前にいた。
運営からの放送で今から一週間NPCのショップに第二回専用のポイント交換所が開かれると告知がされる。
蓮見が隣に居る美紀に視線を向ける。
「なら俺達はスキルショップに行かないか?」
後ろで手を組んで嬉しそうに答える美紀。
「いいよ。どんなスキルがあるか楽しみだね!」
二人はそのままスキルショップへと足を運んだ。
スキルショップに入ると美紀はそそくさと奥の方へと行き、スキルを探しに行ってしまい置いてけぼりになった蓮見は一人で自分に合ったスキルを探していた。
スキルショップに置かれたパネルを操作して総数250個の中から弓使い向けスキルとそれに関連性のあるスキルに絞って一つずつ確認していく。
「ってか……こんなにあるのか……知らなかった」
蓮見は更にCRIやAGI後はINTに影響を与えるスキルに絞り込んでいく。
第二回イベントで戦った小百合のように、一人でも戦える強さを手に入れるためだ。
NPCでは合ったが小百合の戦い方は蓮見の理想ともなったのだ。
それに近づく為に蓮見は一人悩み考える。
「火事場のスキルはもう持っているから、それ以外だと……」
パネルをスクロールして、スキルを確認していく。
「『ファイヤーアロー』や『バースト』とかいいなぁ……だけど小百合の強さは攻撃と言うよりも速度だったよな……。里美の攻撃にも対処してたし……となるとやっぱり……」
最初はイベントに参加してただでスキルが貰えるならそれで良いと考えていたが、いざポイントに合わせた好きなスキルをゲットできるとなると思いのほか悩んでしまった。
パネルを凝視する蓮見。
「んっ? 『虚像の発火』? ……なんか名前カッコイイのな……良しこれにしよ。丁度15000ポイントだしな! 後は……」
蓮見は即決した。
余った5000ポイントで更に別のスキルを物色し探し始める。
しばらくするとあるスキルが目に留まる。
「おっ……『風を超えて』名前がいいなぁ。これにしよ。これで合計20000ポイントいい買い物したな!」
これでHPゲージが今度から三割を切ると同時にAGIが1.5倍になる。
追い込まれれば負けたくないと闘志が燃える蓮見には打ってつけのスキルだった。それにこれだけAGIが上がればあの小百合にだってしっかりとついて行けると思った。
スキル『虚像の発火』 自動発動
効果:消費MP5割固定。レクイエムの上位スキル。威力はMP最大値とINT値によって変動。
状態効果:発火 +20
獲得条件:第二回イベント限定スキルショップで購入。
スキル『風を超えて』 自動発動
効果:HPが3割を切ったタイミングで自動発動しAGIが1.5倍になる。
HPが回復した場合3割を超えた時点で効果を失う。
獲得条件:第二回イベント限定スキルショップで購入。
そのまま支払いを済ませて、お店を出る。
「次は小百合、お前を一人で倒せる力を手に入れる。これが当分の目標だな」
そして疲れたので美紀にメッセージを入れて先にログアウトした。
第二回イベントに合わせて提示板も各個人のパネルから気軽にログインし閲覧と書き込みが何処からでもできるようになった。
そして蓮見がスキルを長々と選んでいたその頃ある新規の提示板では。
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