第32話 三人の拠点探し
それはギルドの拠点となる場所である。
「ねぇ、ここなんてどうかな?」
「う~ん、とりあえず中に入ってから決めましょう」
「そうね」
この辺の仕組みが良く分かっていない蓮見は早速中に入っていく美紀とエリカの背中を追う形で中に入っていく。
エリカが言った建物は、ギルドがある中央区から離れた場所にあった。
その為か中央区とは打って変わって街並みが大きく変わっていた。
外見は煙突が付いており何処か少し前の時代にある別荘をイメージさせる建物だった。中に入ると二階建てで暖炉も付いている。三人で使うにはとても広く感じさせる間取りで悪くないな~と思いながら見ていると美紀が隣に来る。
「どう? ここでいい?」
「うん。二人がいいならいいよ」
蓮見がそう言うと美紀がエリカの元に行き、ギルド拠点として登録を始める。
しばらくすると、空中にスクリーンが出現し【ギルド登録完了】と文字が表示された。
喜ぶ美紀とエリカ。
蓮見はこの時、なんだかんだこの二人めっちゃ仲が良いんだなと思った。
するとエリカが何かを思い出したように言う。
「ヤバッ!」
「エリカさん? 急にどうしたんですか?」
「今日この後用事があるんだった。二人共ごめん。先にログアウトしていいかなぁ?」
手を合わせて謝ってくるエリカ。
蓮見と美紀がお互いの顔を見て頷く。
「はい。大丈夫ですよ」
「全然気にしないでいいわよ。もうやる事全部終わったんだし」
「なら良かった。ならまたね~」
そう言ってパネルを操作してログアウトするエリカ。
二人きりになった蓮見と美紀。
「私達はどうする?」
「里美に任せるけど?」
「なら少し二人でゆっくりしない?」
「そうだな。ボス戦で疲れたもんな」
蓮見と美紀はそう言って近くにあったソファーに行き、並んで腰掛ける。
すると普段の美紀では信じられない事に蓮見の肩に寄りかかって眠る。
どうやら疲れていたらしく、蓮見はそのまま何も言わずに美紀が起きるまで隣にいてあげる事にした。
「珍しいこともあるんだな。お疲れ様」
すると美紀の口角が少し緩んだように見えた。
その頃『YOUR FANTASY MEMORY』の提示板では早くも噂が流れ始める。
そして忙しいはずのエリカはスマートフォンから公式サイトにアクセスして現実世界から提示板を見ていた。
167 名前:???
おい見たか?
公式がボス戦攻略のヒントとして出してきた情報
168 名前:???
見た
169 名前:綾香
何かあったの?
169 名前:???
公式の発表によると、
「ある弓使いは通常攻撃が効かないと悟り、機転を利かしてドラゴンの口の中に手榴弾を投げ込みそれで倒した」って発表があった。
何でもクリアしたプレイヤーが少ないから武器を持ち込んで倒す事をお勧めしてる。
だけど問題はそこじゃない
「ある弓使い」そして弓使いでそんな事をする人間は? って話し
170 名前:綾香
ん?
別に武器を持ち込むのはマナー違反じゃないし問題ないでしょ?
171 名前:???
>170 ん? じゃねぇwww
綾香がフラグ立てたから【神眼の弓兵】が暴れてるじゃねぇか!!!
普通に考えてドラゴンの口の中に危険を承知の上でわざわざ手榴弾を投げ込む弓使いとか他にいないだろwww
172 名前:綾香
おぉ! 流石! 私の期待を裏切らないね!
てかそれ本当に彼なの?
173 名前:エリカ
私同伴してたから目の前で見てた
あれは流石に驚いた。黒龍が穴という穴から火を噴きだして死ぬとは
174 名前:???
どうゆう意味?
175 名前:エリカ
【紅】君が通常の10倍火薬を使った手榴弾を突撃してくる黒龍に向かって野球ボールを投げるように投げて口にスポッと入って大爆発。
途中暴発でもしたら自分も木端微塵なのによくそんな作戦を思いつくよねwww
でも私をしっかりと守ってくれて【紅】君年下なのにちょっぴりかっこよかった!
176 名前:???
手榴弾の使い方間違ってる
だけど結果を残す【神眼の弓兵】
発想と度胸がもはや最強
てかさっきギルド一覧見てたら【深紅の美】ギルドにいる!
メンバー:【神眼の弓兵】と里美とエリカ
187 名前:綾香
え? とうとう三角関係?
178 名前:エリカ
ごめん
お客さん来た
またね
179 名前:???
逃げたww
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