第四章 美紀の期待を超えろ!

第31話 エリカの提案


 一層のボスを撃破して二層に到着した三人。


 新しい街並みは一層とは違って摩天楼まてんろうをイメージさせられる街並みと科学が発展した印象を受ける街並みを合わせた感じだった。それにチラホラと既にプレイヤーが歩いていたがその殆どは第一回イベントで上位三十名に入っていた強者達ばかりだった。


 全員が全員と言うわけではなかったが、早速ギルドとなる拠点を探しているのか話声がチラホラと聞こえてきた。ギルドを新たに建設する者、ギルドに勧誘する者、二層の街並みを楽しむ者……と各々がしたい事をしていた。


「ねぇ、紅? 私達はギルド作る? それとも入る?」

「そうだな~」


 その質問に蓮見が考えていると隣から声が聞こえてきた。


「はいはいはーい! 私はギルド作ったらいいと思います!」

 元気よくそう言ったのは蓮見の隣にいたエリカだった。


 どうやら考えがあるのかそのまま話し続ける。

「私さっき思ったんだけど、紅君なら私の発明した武器を正しく使ってくれる気がする! それに前回イベント二位の美紀がいれば知名度は問題なし! そこに紅君がいるなら尚更!」


「まぁ人を探すって意味では私が動けば何とかなるだろうけど……ってちょっと待ちなさい。もしかしてエリカギルド入るつもり? 貴女は攻略組じゃなくて生産職でしょ!?」


「あら、勘が良いのね。そうよ、紅君見てたら飽きないからね。最初はギルド入るつもりなかったんだけどこのままアップデートが実施される度にボスクリアってなったら所属しておいた方が私的にはいいと思うのよね」


「それなら私達の所にする理由はないわよね?」


「まぁ~そう言わないでよ。やっぱりゲームするなら一緒にして楽しい人としたいじゃない?」


 美紀が横目で蓮見を見る。

「だそうよ。紅が決めていいわよ。私は紅と一緒にゲーム出来ればどっちでもいいから」


「なら一緒にするか。楽しく遊びたいってのは俺もエリカさんに同感。何より……」

「何より?」

「俺達がダークネスに勝てたのはエリカさんの手榴弾が最後活躍したからなんだし。まぁそのせいで二回死に掛けたけどな……」


 美紀がクスクスと笑い始める。


「そうね。良し! なら三人でギルド結成よ!」

「「おぉーーー」」



 早速ギルド登録をする為に二層のギルド受付に向かう三人。

 ギルドに着くと如何にもRPGゲームにありそうな建物が建っていた。


 中に入ると多くのプレイヤーに囲まれている者や蓮見はまだ受けた事がないがギルド内にある提示板に、目を通してクエストを探している者と様々な人がいた。興味津々に辺りを見渡している蓮見をおいて、美紀とエリカがギルド結成の申請を受け付けのお姉ちゃんと話して手際よくしてくれる。


「すみません。ギルドの結成をお願いします」

「わかりました。ではこちらにギルド名と代表者ギルド長のお名前、後はメンバーのお名前をお願いします。尚今後予定されていますイベント登録等はギルド長からの委任状を持ったギルドメンバーもしくは副ギルド長でも可能となっています。副ギルド長は後からでも任命、変更が可能です」


 横にいるエリカを見て言う美紀。

「う~ん。エリカ名前どうする?」


 エリカが腕を組んで少し考える。

「う~ん、そうね~」


 しばらくすると何かを思い付いたように手をポンと叩く。

「面白そうだし代表は紅君でいいんじゃない? 知名度としては里美よりあるし。運営やイベント登録の時は全部里美がカバーしてあげればいいと思う。って事で副ギルド長は里美。ギルドの名前は……【深紅の美】《しんくのみ》とかどう? 里美の【美】と【紅】君の紅を合わせて」


 美紀が笑顔で頷く。

「うん。それいい。それにしましょ!」


 そして早速記入をしていく。

 そんな二人を置いて蓮見は他のプレイヤー達を眺めていた。

 一層ではギルドの中にすら入った事がない蓮見には全てが新しく興味をそそる物で一杯だった。


「すげー、皆強そうだな……」

 そんな事を呟いているともう終わったらしく美紀とエリカが蓮見の元に来る。


「もう終わったよ? 用事がないならもう出るけど?」

「紅君?」

「あぁ、大丈夫です」

「そっかぁ、なら出ましょう」

 用事が終わったのですぐにギルドを出る三人。


 ――そして。


 1時間後。


 遂に三人が見つける。

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